ステラが次の行動を計画している間、エリオットは王宮との繋がりを利用し、重要な情報を集めていた。その努力が実を結び、ついにカトリーナの儀式に関する具体的な情報を持ち帰ってきた。

「ステラ様、準備が整いました。これがカトリーナが計画している儀式に関する詳細です。」

エリオットは一冊の書類をテーブルの上に置き、その中からいくつかのページを開いてステラに見せた。

「ほう、どれどれ…」

ステラは飴を舐めながらその内容を読み始めたが、すぐに顔をしかめた。

「これ、なんや？全部ウチを落としめるための罠やんか。」

---

儀式の詳細

書類には、カトリーナが計画している「聖女の真実を証明する儀式」の詳細が記されていた。その内容は、次の3つの試練を中心に構成されていた。

1. 神託の石への祈り

　聖女であれば神託の石が光を放つとされるが、この石はカトリーナの魔法で操作されており、ステラが触れても反応しない仕組みになっている。

2. 清浄なる水の試練

　聖女の手が触れると清らかな水が光るとされるが、カトリーナの部下が事前に魔法を仕掛けており、ステラが触れると水が濁るようになっている。

3. 最後の審判

　神官たちが儀式を取り仕切り、最終的な判定を下すが、その神官たちはすべてカトリーナの支持者であり、結論は最初から「ステラは偽聖女」と決まっている。

---

エリオットの説明

「この儀式は完全にステラ様を偽聖女として貶めるために計画されています。カトリーナは王宮内での地位を磐石なものにするため、この儀式を通じて聖女の地位を独占するつもりです。」

エリオットの説明に、ステラは飴を噛み砕きながら不敵な笑みを浮かべた。

「なんや、それはそれでおもろいやん。ほんなら、その儀式を逆手に取ったらええってことやな。」

「逆手に取る…ですか？」

「そや。この儀式を利用して、ウチが本物の聖女やってことを証明したる。その上で、カトリーナの嘘を暴くんや。」

---

計画の立案

ステラは侍女たちやエリオットと協力し、儀式を阻止しつつ名誉を回復するための計画を立て始めた。

「まず、神託の石や清浄なる水の仕掛けを全部解除する。それから、神官たちに混乱を起こさせるための証拠を用意するんや。」

エリオットはステラの案に頷きながら、補足を加えた。

「そのためには、王宮にいる協力者たちの力が必要です。彼らが儀式の準備段階で動けば、仕掛けを解除することが可能です。」

「ええな。それから、ウチも王宮に潜入して直接手を貸したる。」

「ですが、王宮への潜入は非常に危険です。追放された身で戻れば捕まる可能性もあります。」

「そんなん気にしとったら何もできへんやん。ウチは浪速魂でやったるで。」

その自信満々な言葉に、エリオットも思わず苦笑いを浮かべた。

---

侍女たちとの再連携

王宮に残っている侍女たちは、ステラのことを未だに慕っており、彼女に協力する意思を示していた。エリオットを通じて彼女たちと再び連絡を取り、細かい作業を依頼することになった。

「侍女たちは儀式の準備に携わる役割を与えられているようです。その隙を突いて仕掛けを解除するのが最善策かと。」

「せやったら、侍女たちには細かい指示を出して、絶対にバレんように動いてもらわなあかんな。」

侍女たちは、神託の石や清浄なる水の仕掛けを調べ、どのタイミングで解除すれば良いかを報告してくれることになった。

---

次の一手を練る

ステラは計画の全体像を整理しながら、次の一手を考えた。

「エリオット、この計画が成功するためには、ウチらが完全に息を合わせる必要がある。」

「その通りです。ステラ様、万が一の事態にも備えてください。」

「もちろんや。そのために飴も多めに持っとかなな。」

「…飴ですか？」

「飴はな、心を落ち着かせる力があるんやで。戦場でも必要や。」

そんなやり取りをしながら、ステラたちは計画を最終調整していった。

---

準備が整う

計画が形になり始めた頃、ステラは村の空を見上げながら、深く息を吐いた。

「カトリーナ、ウチはただの偽聖女ちゃうってことを、この儀式で証明したる。」

エリオットもまた、その言葉に静かに頷いた。

「ステラ様、私も全力でお支えします。」

---