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第16話 次なる舞台へ

村を離れる準備が整い、ステラは旅立ちを前に村の広場に立っていた。穏やかな陽射しの下、村人たちが彼女を見送るために集まっていた。復興と交易路の開拓を成功させた彼女は、もはや「追放された偽聖女」ではなく、村の英雄として人々の心に刻まれていた。


「ほんま、みんなには世話になったわ。おかげでウチも次のステップに進める。」


ステラは手を振りながら飴を一粒口に放り込むと、にっこりと微笑んだ。


「でもな、これで終わりやない。ウチが帰ってくるときには、もっとええ村にしといてな!」



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村人たちの反応


村人たちは感極まった表情で、口々に彼女への感謝を伝えた。


「ステラ様、本当にありがとうございました!あなたがいなければ、この村はどうなっていたことか…。」

「交易路ができてから、生活がずいぶん楽になりました。どうかお気をつけて!」


中には涙を浮かべる者もおり、その光景にステラは少しだけ目頭を熱くしながらも、明るく振る舞った。


「そない泣かんでもええやん。ウチはまた戻ってくるで!それまで元気でな!」


彼女の明るさに、村人たちも自然と笑顔を取り戻した。



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エリオットの提案


その後、ステラとエリオットは村を出て、王宮への道を歩き始めた。長い道中を見据えながら、エリオットが口を開いた。


「ステラ様、改めて確認しますが、本当に王宮に戻るおつもりですね。」


「当たり前やん。カトリーナのあのしょーもない儀式をぶっ潰すためには、ウチが直接動かなあかんやろ。」


「確かにその通りです。ただ、リスクも大きい。王宮に戻れば、追放されたことを理由に捕らえられる可能性もあります。」


エリオットの慎重な意見に、ステラは飴を噛み砕きながら肩をすくめた。


「そんなん気にしとったら何もできへん。せやけど、安心しとき。ウチには浪速魂がある。」


「…浪速魂でどうにかなるものなんでしょうか。」


エリオットが呆れたように呟くと、ステラは声を上げて笑った。


「なるんや!ウチがそう信じとるからな。」



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侍女たちとの合流


旅の途中、ステラたちはエリオットの手配により、王宮から送られてきた侍女たちと合流した。彼女たちは、かつてステラに仕えていた者たちであり、いまだに彼女を慕っていた。


「ステラ様、お久しぶりです。」


「おぉ、懐かしい顔やな。みんな、元気そうで何よりや!」


侍女たちは深々と頭を下げながら、ステラへの忠誠を改めて誓った。


「私たちは、カトリーナ様の陰謀に耐えられず、ずっとお戻りを待っておりました。どうかお力をお貸しください。」


「もちろんや!ほな、みんなで力合わせてカトリーナをやっつけたろやないか。」


侍女たちの瞳には希望が宿り、ステラの周りに自然と結束が生まれた。



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潜入計画の最終確認


侍女たちとの再会を果たしたステラは、エリオットとともに王宮潜入の最終確認を行った。


「まず、ウチらが王宮に潜り込むタイミングは、儀式の準備が整う直前や。」


エリオットが地図を広げながら説明を始めた。


「侍女たちが儀式の準備に携わる間に、私たちは王宮の裏口から潜入します。そこから儀式会場へ向かい、仕掛けを解除するのが第一目標です。」


「そんで、カトリーナの部屋からさらに証拠を集めるんやな。」


「その通りです。証拠が揃えば、儀式中に彼女の陰謀を暴くことができます。」


ステラは地図を指差しながら笑みを浮かべた。


「ええな。これでウチらの勝ち筋が見えたわ。」



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決意の夜


計画を固めた夜、ステラは星空を見上げながら静かに拳を握りしめた。


「ここまで来たんや。もう後には引かれへん。」


エリオットが近づいてきて、彼女に紅茶を差し出した。


「ステラ様、何かお考えですか?」


「ただの独り言や。せやけど、ウチは絶対にこの儀式を成功させる。あいつらに浪速魂の底力を見せたるんや。」


「私も全力でお支えします。」


二人の視線が交わり、その決意がさらに強固なものとなった。



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王宮へ向かう旅立ち


翌朝、ステラたちはついに王宮へ向けて出発した。道中、彼女は侍女たちやエリオットと軽口を交わしながらも、その瞳には鋭い意志が宿っていた。


「カトリーナ、待っときや。ウチが帰ってきたとき、全部終わりにしたるからな。」


飴を口に放り込み、力強く笑みを浮かべたステラ。その後ろ姿を見た侍女たちとエリオットは、静かに彼女についていくのだった。



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