王宮の隠し部屋に通されたステラは、久しぶりに再会する顔ぶれに少しだけ感傷的な気持ちになっていた。そこには、かつて彼女に仕えていた侍女たちが集まっており、それぞれが安堵と喜びの表情を浮かべていた。
「ステラ様、本当にお戻りになられるなんて…!」
リディアと名乗る年配の侍女が涙を浮かべながら近寄ってきた。彼女は追放前から長く仕えていた忠実な侍女だった。
「いやいや、ウチも戻るとは思わんかったわ。せやけど、こんなにみんなが元気そうで安心したで。」
ステラは軽く笑みを浮かべながら、懐から飴を取り出して手渡した。
「ほら、これ舐めて落ち着きや。」
リディアは思わず吹き出しながらも、飴を受け取った。
「相変わらずですね、ステラ様。その明るさにどれだけ救われたことか…。」
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侍女たちの状況
集まった侍女たちはそれぞれ、カトリーナがいかにして王宮での権力を強めたかを話し始めた。
「カトリーナ様は、ステラ様が追放された後、王宮での影響力を一気に拡大しました。彼女の取り巻きが高位の貴族や官僚に根を張り、誰も逆らえない状況を作り上げています。」
別の若い侍女が真剣な表情で言葉を続けた。
「それだけでなく、彼女は『聖女の真実を明らかにする儀式』と称して、ステラ様を偽聖女として完全に失墜させる準備をしています。」
「儀式…か。なんや聞くだけでろくでもなさそうやな。」
ステラは腕を組み、眉をひそめながら考え込んだ。
「具体的にはどんな儀式なんや?」
リディアが小さくため息をつきながら答えた。
「それが問題なのです。その儀式は『神託の試練』と呼ばれるもので、聖女の真実を試す名目で行われます。ですが、実際にはカトリーナ様が用意した偽の証拠や証言を用い、ステラ様を貶めるための茶番です。」
「茶番やて…ほんま、あの女はしょーもないことばっかりやっとるな。」
ステラは飴を噛み砕きながら呟いたが、その目は鋭く光っていた。
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侍女たちの協力
「ほんなら、その茶番を逆手に取るしかないな。」
ステラの言葉に、侍女たちは一瞬驚きの表情を見せたが、すぐに真剣な面持ちで頷いた。
「ステラ様、どうか私たちもお手伝いさせてください。カトリーナ様のやり方に我慢できない者たちは、まだ多くおります。」
「おおきにな。せやけど、ウチにできることは限られとる。みんなの協力があって初めて成功するんや。」
ステラの言葉に、侍女たちは次々と決意を表明した。
「私たちは、王宮内の情報を集めます。」
「カトリーナ様の取り巻きにも協力者がいるか探してみます!」
「ええな。ほんなら、ウチは儀式の中身をもっと詳しく調べてみる。」
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潜入者としてのステラ
侍女たちの協力を得たステラは、彼女たちの働きを後ろ盾にして王宮内をさらに動き回ることができるようになった。侍女の制服を借り、偽装した姿で王宮の廊下を歩く彼女の様子は、誰から見ても違和感のない侍女そのものだった。
「こういうの、昔から得意やねん。商店街ではいつもこうやってウロチョロしてたんや。」
ステラは軽口を叩きながらも、目は鋭く王宮内の様子を観察していた。
「カトリーナの部屋は…こっちか。」
彼女は侍女たちから得た情報を頼りに、カトリーナが普段使用している部屋へと向かった。
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カトリーナの部屋での手掛かり
「ここやな。」
ステラはカトリーナの部屋の前に立ち、小声で呟いた。侍女たちが警備の目を引き付けている隙に、部屋へ忍び込む準備を整えた。
「さて、中にどんな証拠があるんか、楽しみやな。」
鍵をそっと開けて部屋に入ると、そこは豪華な装飾と高価な家具で埋め尽くされた空間だった。
「どこかに重要な書類があるはずや。」
ステラは机や棚を調べ始めた。その中で見つけたのは、儀式に関する詳細が記された書類だった。
「これや!」
書類には、儀式が完全にステラを偽聖女として陥れるためのものであることが赤裸々に書かれていた。それだけでなく、カトリーナの取り巻きたちがどのように動いているかも記されていた。
「これはええ証拠になるわ。」
ステラは書類を素早く懐にしまい、部屋を後にした。
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侍女たちとの再確認
隠し部屋に戻ると、侍女たちが彼女を待っていた。
「どうでしたか?」
「バッチリや。これであの儀式の嘘っぱちが全部暴ける。」
ステラは書類を広げて侍女たちに見せた。それを見た侍女たちは驚きと安堵の表情を浮かべた。
「これがあれば、カトリーナ様の企みを阻止できますね。」
「せやな。次はこれをどう使うかが問題や。」
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次なる一手
侍女たちとの協力で得た情報を基に、ステラは次なる計画を練り始めた。
「この儀式を逆手に取って、ウチが偽聖女やないことを証明したる。」
彼女の浪速魂が燃え上がり、侍女たちはその言葉に深く頷いた。
「ステラ様、私たちも全力でお手伝いします。」
「ほんなら、みんなでカトリーナに一撃かましたろか!」
その場にいる全員が決意を新たにし、次の戦いに向けて動き出した。