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第19話 儀式の真相

カトリーナの部屋から手に入れた書類を隠し部屋に持ち帰ったステラは、侍女たちとともに内容を確認していた。そこには「聖女の真実を証明する儀式」と称した計画の詳細が記されていたが、その実態は恐ろしい陰謀そのものだった。


「これ、完全に出来レースやん。」


ステラは書類を広げ、飴を噛み砕きながら呆れたように呟いた。


「儀式の内容を見ても、カトリーナ様に都合のいい結果しか出ない仕組みになっていますね…。」


侍女のリディアが憤慨した様子で書類を指差した。


「ここを見てください。この試練と称する部分、参加者が純潔の証を得られないような仕掛けがしてあります。」



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儀式の仕組み


儀式は3つの試練を経て、聖女の真実を証明するものとされていた。その3つの試練は次のような内容だった。


1. 神託の石への祈り

 石を前にして祈ることで、聖女の力が発動するとされる。しかし、石自体がカトリーナに仕込まれたもので、ステラには反応しないように設定されている。



2. 清浄なる水の試練

 聖女であれば清らかな水に触れると、その水が輝くという。しかし、その水は特定の魔法で操作され、ステラが触れた際には毒に変わる仕組みだった。



3. 最後の審判

 最後に神官たちが「神託」を下すとされているが、神官たちは全員カトリーナの手下であり、結論は最初から決まっている。





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ステラの分析


ステラは飴を舐めながらじっくりと書類を眺め、考え込んでいた。


「ほんま、しょーもないやり方やな。せやけど、これをそのままやらせるわけにはいかん。」


「どうしますか、ステラ様?」


エリオットが尋ねると、ステラは自信満々の笑みを浮かべた。


「逆にこの儀式を使うんや。ウチが聖女やないことを証明するっちゅう見せかけで、カトリーナの嘘を暴いたる。」


「それは…どうやって?」


侍女たちが不安そうに尋ねると、ステラは拳を握りしめて答えた。


「まずは、仕掛けを全部調べて解除する。それから、あの女の取り巻きたちを混乱させるんや。最後に、ウチの力でみんなの前で真実を見せる。それが浪速流や!」


その言葉に、侍女たちの不安が少しずつ消え、希望の光が宿り始めた。



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仕掛けの解除


まず、ステラたちはカトリーナが用意した儀式の道具を密かに調査することにした。侍女たちの協力で、儀式が行われる広間に入り込み、神託の石や清浄なる水の準備を確認した。


「この石、ほんまにインチキやな。」


神託の石を触ったステラは、何の反応もないことを確認しながら呟いた。


「これ、魔術で操作されとるわ。せやけど、仕掛けを逆に使えば…。」


彼女は侍女たちとともに石の魔法を解除し、聖女の力に反応するよう改造を施した。また、清浄なる水には特定の魔法が仕掛けられていたが、それを解除して本来の清らかな水に戻した。


「これで準備は万端やな。」



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取り巻きたちの動揺


次に、カトリーナの取り巻きたちを混乱させるため、侍女たちが王宮内で密かに情報を流し始めた。


「聞いた?ステラ様が儀式に挑むらしいわ。」

「しかも、彼女が準備した証拠があるとか…。」


そんな噂が広がる中、カトリーナの取り巻きたちは動揺を隠せず、次々と彼女のもとに報告に駆けつけた。


「カトリーナ様、大変です!ステラが儀式に参加する準備をしていると!」


「何ですって?そんなはずはない!」


カトリーナは激昂したが、その言葉に説得力はなかった。



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ステラの決意


全ての準備を終えたステラは、侍女たちとともに隠し部屋で最後の確認を行った。


「これで、儀式の準備は整ったな。あとはウチがみんなの前で全部見せつけるだけや。」


リディアが深々と頭を下げながら言った。


「ステラ様、本当にここまで戻ってきてくださりありがとうございます。私たちも、全力でお支えします。」


「おおきに。みんなが協力してくれたからこそ、ここまで来れたんや。ほな、最後の仕上げに行こか。」


飴を口に放り込みながら、ステラは不敵な笑みを浮かべた。



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儀式への挑戦


ステラの計画は、儀式の場で完全にカトリーナを追い詰めることだった。その日の夜、広間に集まった貴族や神官たちの前で、彼女は堂々とした態度で登場した。


「さあ、カトリーナ。ウチが偽聖女かどうか、確かめたろやないか。」


その一言に会場がざわめき、カトリーナは冷や汗を浮かべながら睨みつけた。


「あなたには失望させてもらいますわ、ステラ。」


「そっちこそ、後悔せんようにな。」


浪速魂を胸に、ステラの戦いがいよいよ始まるのだった。



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