目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第21話 証拠の公開

儀式の会場は、王宮の中でも最も壮麗な大広間だった。白大理石の床に輝くシャンデリア、絢爛豪華な装飾が施された壁には数々の名家の紋章が刻まれている。今日、ここで行われるのは「聖女の真実を証明する儀式」。しかし、その裏にはカトリーナによる陰謀が隠されていた。


会場の中央には「神託の石」が置かれ、その周囲には神官や貴族たちが集まり、神聖な空気を装っていた。しかし、彼らの多くはステラが偽聖女として完全に失墜する瞬間を待ちわびているようだった。


「皆さま、本日は私、カトリーナ・フォン・エクレールが、この儀式を取り仕切らせていただきます。」


純白のドレスを身にまとったカトリーナが優雅に一礼すると、貴族たちの間から拍手が湧き上がった。


「さあ、いよいよ始めましょう。聖女の真実を証明するための儀式を。」


カトリーナの声が響き渡る中、ステラがその場に堂々と現れた。



---


不意の登場


会場の扉が重々しく開き、追放されたはずのステラが姿を見せた瞬間、会場内がざわめきに包まれた。


「これは一体どういうことだ?」

「追放された偽聖女がここに現れるとは…!」


その場の空気を一変させたのは、ステラの堂々たる態度だった。赤いドレスをまとい、飴を口に放り込んで涼しげに微笑む彼女の姿は、誰もが想像していなかったものだった。


「どないしたん、みんな。ウチがここに来たらおかしいんか?」


その軽妙な言葉に、会場はさらに騒然となった。


「ステラ、あなたはこの場にふさわしくない。偽聖女のくせに何をしに来たのですか?」


カトリーナが鋭い声で問い詰めるが、ステラは全く動じず、ゆっくりと壇上へ向かって歩みを進めた。


「ふさわしいかどうか、今から証明したるわ。」



---


証拠の提示


壇上に上がったステラは、懐から一冊の書類を取り出し、それを高々と掲げた。


「これが何か分かるか?これ、あんたがやっとること全部書いてある証拠や。」


その言葉に会場内の空気が凍りついた。カトリーナは目を見開きながらステラを睨みつけた。


「な、何を言っているの?そんなもの、でたらめに決まっているわ!」


「でたらめかどうか、みんなで確認したらええ。」


ステラは書類を貴族たちに手渡し、その中身を確認させた。書類には、カトリーナが神託の石や清浄なる水の仕掛けを不正に操作したこと、神官たちに賄賂を渡していたことなどが詳細に記されていた。


「これは…本当なのか?」

「確かにこの署名は、カトリーナ様のものだ…。」


次々と広がる声に、カトリーナは冷や汗を浮かべながら反論を試みた。


「嘘よ!そのようなもの、私が書くはずがない!」


しかし、ステラはさらに強い一撃を放った。


「ほんまか?ほんなら、この部屋から出てきた魔道具も偽物なんか?」


ステラはカトリーナの部屋から持ち出した魔道具を取り出し、それを神官たちに手渡した。


「この魔道具、儀式を不正操作するために使うもんや。これでもまだ、ウチが嘘ついとる言うんか?」


神官たちが魔道具を確認し、魔力の痕跡を発見すると、会場は一気に騒然となった。



---


貴族たちの動揺


証拠を目の当たりにした貴族たちは動揺し始めた。


「もしこれが本当なら、我々は偽聖女どころか真の聖女を追放していたことになる…。」

「いや、そんなはずはない!しかし、これだけの証拠が揃っているのに…。」


ステラは会場内の混乱を冷静に見つめながら、一言付け加えた。


「ウチが偽聖女かどうか、ここで確かめたらええやん。」


その言葉に、場の空気がピリッと引き締まった。


「せやけど、その前にあんたらに聞きたいことがある。カトリーナがここまでやっとる間、なんで誰も止めへんかったん?」


鋭い問いに、貴族たちは言葉を失った。



---


決定的な証拠


ステラは最後の証拠として、清浄なる水の試験を実行した。


「これが清浄なる水やろ?ウチが触ったらどうなるか、みんなで見とき。」


ステラが水に手を浸すと、それは澄んだ輝きを放った。会場は静まり返り、その光景を目の当たりにした貴族たちの表情が次々と変わっていった。


「輝いた…!ステラ様こそが本物の聖女だ!」


「いや、まさか…。」


カトリーナは完全に追い詰められ、その場に崩れ落ちた。



---


真実の暴露


ステラはカトリーナを見下ろしながら、最後の言葉を投げかけた。


「もう終わりや、カトリーナ。あんたの嘘は、ここで全部暴かれたんや。」


貴族たちもまた、カトリーナに非難の声を浴びせ始めた。


「こんな人間に騙されていたなんて…。ステラ様を追放したことこそが、我々の罪だ!」



--



この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?