カトリーナの陰謀が暴かれ、証拠が公開されたその瞬間、会場は怒号と囁きが入り交じる混乱の渦と化していた。ステラが清浄なる水を光らせたことで、偽聖女の汚名を着せられていた彼女が本物の聖女であることが明らかになったのだ。
「ステラ様は…本当に聖女だったのか?」
「しかし、追放されたのでは?我々は大きな過ちを犯してしまったのではないか?」
貴族たちは動揺し、その目には後悔や疑念が浮かんでいた。一方で、王太子カルヴィンの苦渋に満ちた表情を見て、事態の深刻さを悟り始める者もいた。
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カトリーナへの糾弾
その中で、最初に動いたのはカトリーナの派閥に属していた貴族たちだった。
「カトリーナ様、この証拠が事実だというのであれば、あなたは王国全体を欺こうとしたことになります!」
「こんな愚かな行為が許されると思っているのか!」
彼らの糾弾が始まると、それに続くように他の貴族たちも次々と声を上げた。
「そもそも、ステラ様を追放するという決断が間違いだったのではないか?」
「これまでカトリーナ様に従っていた私たちは、一体何を信じていたのだ…?」
カトリーナは顔を青ざめさせながらも、必死に弁明しようとした。
「違います!これは誤解です!私を陥れようとしている何者かの策略です!」
しかし、貴族たちの視線には、もはやカトリーナへの信頼の欠片も残っていなかった。
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ステラの言葉
その様子を見ていたステラは、軽く咳払いをして人々の注意を引いた。
「まあまあ、みんな落ち着き。ウチがここに戻ってきたんは、誰かを責めるためやない。」
その言葉に、一瞬ざわついていた会場が静まり返った。
「カトリーナが何をしとったか、ウチが証明しただけや。それに気づかんかったみんなにも責任があるっちゅうことやないか?」
貴族たちはその言葉に思わず黙り込み、自分たちの行動を振り返り始めた。
「そやけど、ウチは恨んどらへん。みんながこれからどうするかが大事やと思っとる。」
ステラはにっこりと笑いながら、飴を一粒取り出し、壇上から貴族たちに向けて差し出した。
「ほら、甘いもんでも舐めて頭冷やし。」
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貴族たちの変化
ステラの言葉と飴を差し出す行動に、貴族たちは困惑しつつも笑みを浮かべる者が現れ始めた。
「ステラ様…本当に聖女らしいお心をお持ちだ。」
「我々が間違っていた。彼女を追放したことこそ、最大の過ちだったのだ。」
次第に、貴族たちの間でステラへの評価が変わり始めた。
「聖女に戻っていただくべきではないか?」
「そうだ、ステラ様こそがこの王国を導く存在だ!」
ステラはその声を聞きながら、軽く首を振った。
「そんなん、ウチはどうでもええねん。ただ、ウチの周りで嘘が蔓延るのだけは許せへん。それが分かってくれたらそれでええ。」
その率直な言葉が、貴族たちの心に深く響いた。
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派閥間の動揺
一方で、カトリーナ派の貴族たちは完全に孤立し始めていた。彼らは周囲の非難を浴びながらも、どうにかしてカトリーナを擁護しようと試みた。
「まだ全てが証明されたわけではない!これには何か裏があるに違いない!」
「そうだ、ステラ様の証拠が全て本物だとは限らない!」
しかし、その声は次第に弱まっていった。なぜなら、他の貴族たちがそれに耳を貸すことをやめたからだ。
「もういい加減にしろ。これ以上の弁明は無意味だ。」
「王国のために、正しい判断を下すべきだ。」
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名誉回復の兆し
会場の空気が一変し、ステラへの支持が広がっていく中、王太子カルヴィンが再び口を開いた。
「ステラ…お前の行動は、私たちにとって大きな教訓となった。」
彼はステラの前に進み出て、深々と頭を下げた。
「このような形で再び出会うことになり、申し訳ない。私がもっと早く真実に気づいていれば、こんなことにはならなかっただろう。」
その謝罪に、ステラは軽く肩をすくめた。
「そんな謝らんでもええ。ウチは、ただ嘘を正したかっただけや。」
その簡潔な言葉に、会場全体が静まり返り、やがて拍手が沸き起こった。
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ステラの思い
その後、貴族たちが次々とステラに謝罪と感謝の言葉を述べる中、ステラは静かに空を見上げた。
「これでやっと一歩進めたな。」
彼女の表情には満足感と共に、新たな決意が垣間見えた。
「名誉を回復するんはええけど、ウチの旅はまだまだこれからや。」
浪速魂を胸に、彼女の戦いは続いていく。
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