カトリーナの新たな陰謀による混乱が広がる王宮の儀式会場。しかし、その静かな混乱の中、ステラは毅然とした態度で壇上に立っていた。彼女の手には、小さな包みが握られている。誰もがその包みの中身に目を奪われたが、ステラ本人はまるで気にする様子もなく、にこやかに貴族たちを見渡していた。
「まあまあ、みんな落ち着き。そない騒いでもしゃあないやろ?」
その一言に、ざわついていた会場が一瞬で静まり返った。彼女の自然体な振る舞いには、不思議な説得力があった。
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カトリーナの虚勢
カトリーナは冷や汗を浮かべながらも、なおも余裕のある態度を装っていた。
「ふん、何を言おうと無駄よ、ステラ。あなたが持ち込んだ証拠が捏造であることを、私はこの新たな証拠で証明したのだから。」
彼女は先ほど神官たちに渡した偽造書類を指差し、貴族たちに向けて声を張り上げた。
「皆さま、彼女の言葉に惑わされてはなりません。この王国を混乱させようとしているのは、ステラ本人なのです!」
その強気な態度に、一部の貴族たちは再び動揺し始めた。
「カトリーナ様がそこまで言うなら、もしかして…?」
「いや、しかしステラ様が本物である証拠も十分にある…。」
疑念と混乱が再び広がり始める中、ステラはゆっくりと歩みを進めた。
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ステラの逆転劇開始
ステラは壇上の中央に立ち、飴を一粒口に放り込んだ。そして、カトリーナの方に向き直り、軽く肩をすくめた。
「カトリーナ、あんた、ほんまにええ加減にしときや。」
「な、何ですって?」
「そない嘘ばっかり言うてたら、えらい目に遭うで。」
その言葉に、会場の空気が一変した。カトリーナが虚勢を張るほど、彼女の焦りが露骨に見え始めたからだ。
「嘘?私が嘘をついているとでも言うの?」
「そや。ほな、みんなに見せたるわ。」
ステラは手に持っていた包みを広げた。その中には、王宮内でしか手に入らない特定の印章と、魔道具の部品が収められていた。
「これ、あんたの部屋から出てきたもんやけど、どう説明する?」
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会場の反応
その証拠が公開されると、会場は再び騒然とした。貴族たちは互いに顔を見合わせながら、次々と囁き始めた。
「これは…カトリーナ様の私室にしかないはずのものだ!」
「もしこれが本当なら、彼女が儀式を操作しようとした証拠になる…!」
その動揺を見て、カトリーナは必死に反論しようとした。
「そ、それは偽造よ!彼女が仕組んだ罠に決まっているわ!」
しかし、ステラは飴を噛み砕きながら肩をすくめた。
「ウチが偽造なんかできるわけないやろ。そないなこと言うくらいやったら、これが偽物やっちゅう証拠でも出してみいや。」
その一言に、カトリーナは完全に黙り込んだ。
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浪速流の説得術
ステラは会場の貴族たちに向き直り、穏やかな口調で話し始めた。
「みんな、よう考えてみてや。ウチがここまで来るのに、どんだけ大変やったか。」
その言葉に、貴族たちは静かに耳を傾け始めた。
「追放されて、身一つで生きてきたんや。それでもウチはこの王国を愛してるし、みんなに笑顔でいてほしいと思っとる。それを踏まえた上で、ウチとカトリーナのどっちが嘘ついとるか、自分の目で見極めてほしいねん。」
その真摯な言葉に、貴族たちの心が次第に動かされていった。
「確かに、ステラ様の行動には一貫性がある…。」
「カトリーナ様の主張はどこか不自然だ。」
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カトリーナの失態
追い詰められたカトリーナは、ついに耐えきれず、声を荒げた。
「こんな茶番に付き合っていられるか!私は間違っていない!」
彼女のその反応は、もはや言い逃れのできない状況を示していた。そして、その瞬間を見逃さなかったステラが、とどめの一言を放った。
「ほらな、あんた、自分が正しいならそんな風に怒らへんやろ?」
その冷静な指摘に、カトリーナは完全に黙り込み、顔を真っ赤にしてその場に立ち尽くした。
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逆転の完成
会場全体がステラの味方につき始めた中、彼女は最後にこう付け加えた。
「これでウチの話はおしまいや。あとはみんなが正しい判断をしてくれると信じとる。」
その言葉に、貴族たちは次々と頷き始めた。そして、カトリーナの支持者たちは静かにその場を後にし、彼女の孤立が決定的なものとなった。