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50名の騎士の中に、たくさんの知り合いがいて、俺が一緒に遺跡に赴くことを喜んでくれた。しかも自分たちが使わなくなった鎧や剣を、俺にプレゼントまでしてくれた。
「アレックスがいなくなったら、誰が馬の世話をすることになるんだ。絶対に困るだろ。だから俺たちのお古だけど、どうか受け取ってくれ」
そう言って手渡された鎧を身に纏い、剣を携えて大勢の騎士とともに、隣国との狭間にある遺跡を目指した。
「それにしてもよ、隣の国の腕のたつ騎士が全員戻らないなんて、いったいどんな試練が待ち構えているんだろうな」
向かう道中にかわされた会話は、暗い内容がほとんどだった。お互いありとあらゆる試練を想定し、対処できるように相談しているようにも感じた。
(馬の世話しかしたことのない俺が、誰もなしえない試練に挑んだところで、足手まといになるのが目に見える)
だからこそ、ここにいらっしゃる騎士たちの役にたてなければと、かわされる会話に耳を傾けつつ、騎士様たちが乗っている馬の様子に注意を払ったのだった。