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第15話 失墜と再生



ヴィヴィアン公爵令嬢とアルトール王太子の陰謀が暴かれ、評議会での裁きにより、彼らは王宮の中心から追放された。しかし、それはすべての終わりではなかった。リラは自分の無実を証明し、過去を清算することができたが、彼女の使命はまだ終わっていなかった。病の根本的な解決と人々の救済、そして自分自身の未来に向き合う必要があった。






ヴィヴィアンの失墜

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ヴィヴィアンは、評議会の決定を受けて公爵家の特権を剥奪され、王都から追放された。かつての地位と権力を失った彼女は、すべてを取り戻そうと悪あがきを試みたが、誰も彼女に手を差し伸べる者はいなかった。


「なぜこんなことに……リラのせいよ! あの女がすべてを壊したのよ!」


ヴィヴィアンは自らの非を認めることなく、なおもリラを憎み続けた。しかし、王都の人々からは冷たい目で見られ、彼女は次第に孤立していった。



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アルトールの退位


一方、アルトールは王太子の地位を失ったことで、王宮内での発言権をほとんど失った。彼の傲慢な態度と浅はかな判断が、自らをこの立場に追い込んだのだ。


父である国王は冷たい声でアルトールに告げた。

「お前は自分の行いの結果を理解し、受け入れるべきだ。これ以上、王家の名に泥を塗ることは許さない。」


アルトールはその言葉に反論することもできず、無力感に打ちひしがれていた。



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病の原因の究明


ヴィヴィアンとアルトールが失脚した後も、王宮周辺での病の問題は依然として解決されていなかった。リラは評議会での疲れを引きずりながらも、再び病の調査に取り組むことを決意した。


彼女は王宮の井戸や周辺の環境をさらに詳しく調べ、毒草がどのように広がったのかを追跡した。そして、その根本原因が、ヴィヴィアン公爵家がかつて王宮の庭園で栽培していた薬草にあることを突き止めた。


「この毒草は、かつて庭園から地下水に流れ込み、井戸水を汚染した可能性があります。」

リラは王宮の専門家たちと協力し、その汚染を防ぐための対策を講じた。



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民の声とリラの評判


リラの活動は、王都の人々から大きな感謝と賞賛を受けた。かつて彼女を追放者と蔑んでいた一部の貴族たちも、今やその行動に頭を下げるほどだった。


「リラ様がいなければ、私たちはこの病を乗り越えることはできなかったでしょう。」

「彼女こそが真の英雄だ!」


こうした声が広がる中、リラは自分がこの場所で果たすべき役割を改めて認識した。



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セリウスとの再会


その夜、リラは宿泊先でセリウスと向き合って話をした。セリウスは彼女の頑張りを称賛しつつも、疲れ切った様子を心配していた。


「リラ、本当にすごいよ。君がこれだけのことを成し遂げたんだ。でも、自分のことも少しは大切にしないと。」


リラは微笑みながら答えた。

「ありがとう、セリウスさん。でも、私が今できることをしなければ、この機会を逃してしまう気がするの。」


セリウスは彼女の決意に頷き、そっと彼女の肩に手を置いた。

「君が進むべき道を見つけたなら、僕はそれを支えるよ。一人で抱え込む必要はない。」


リラはその言葉に感謝し、再び前を向く勇気を得た。



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未来への布石


王宮での評議会と病の原因の解明を通じて、リラは過去を清算し、新たな未来への第一歩を踏み出した。彼女が持つ薬草の知識と経験は、これからの王国の健康と繁栄にとって欠かせないものとなるだろう。


そして、ヴィヴィアンとアルトールが残した傷跡を癒すため、リラはさらに多くの人々を助けることを誓った。彼女の旅はまだ終わらない。過去の影に囚われず、自分の力で切り開いた道を進むリラの姿は、夜空の星々に照らされて輝いていた



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