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第4話 特別


 いつもの駅で貴方を待ってた。一人ぼっちな私……ううん、少し成長した私は『友人』が出来たはずなのに、心にポッカリと穴が開いてる。


 どうしてかな?悲しくないのに、何も感じないのに……。


 ――涙が溢れてくるの。


 ガタンゴトンと電車が私を置き去りにして、そして動く度に、私の泣き顔を隠してくれる。だからありがたいなんて思ってしまうのよ。


 誰にも気付かれない、だから大丈夫。


 また『皆』の前では笑顔なるいでいれるから。だから、ね?


 今だけ泣いてもいいかな?


 ◇◇◇◇◇


 ポロポロと崩れる雫は、あっという間に瞳を隠して、視界を歪ましている。


 少し気を抜くといつもこうなる自分が情けないけど、少し笑ってしまうよね。自分の感情がどう感じているのか分からないのに、涙が出るなんて。


 それも勝手に溢れる、どうしてだろう。


 ――きっと毒素を出している。


 「おーい。るい何してんだ?」


 私の名前を呼ぶ『その声』を忘れた事なんて一度もない。こんな自分を貴方に見られるなんて、耐えれない。


 (なんてタイミング悪いんだろう……)


 でもね、それでも心は嬉しくて、ついつい涙を拭う事も忘れて、振り向いてしまう私がいるの。


 クルリと振り向く私の目線の先には『貴方』がいる。


 ぼやけてても分かるのよ、貴方は特別だから……。



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