ギーコーギーコ。
ブランコを漕ぐ音が、悲しく響く。空を見上げるといつの間にか、青空から夕焼けに移り変わり、時間経過の早さに驚いてしまうの。こうやって子供から大人へと成長していくのね、と考えてみると、少しくすぐったい。
何故かしらね……。きっと『夕焼け』のせいなのかもしれない。
「まるで、
呟きは夕焼けと共に消え去り、私自身を『
◇◇◇◇◇
ギーコーギーコー。
幼い私は、いつもこの公園にいた。そして一番大好きなお遊具は『ブランコ』なの。だって座ったままで、少し蹴り上げると、宙に浮いたように動いてくれるの。まるで魔法みたいで、楽しくて、よく『一人遊び』してたっけ。
「綺麗なお空さん。風も気持ちいいな~」
まず最初はお空を見るの、凄く綺麗なんだよ。青空も好きだけど一番好きなのは『夕焼け空』なんだ。だって、その時間帯になるとね、大好きなお母さんがお仕事から私の元へ思いっきり走ってくるから。一人ぼっちの終わりの合図なの。
私はいつもニコニコしているんだけど、お母さんはね、凄く怒るの。『こんな時間まで何してるの?』って……。私、お母さんを待っていただけなのになぁ。
この公園はね、特別なの。死んだお父さんとお母さん、そして私の三人で楽しく遊んでいた思い出の場所なのだから。
それに、ここはお母さんの職場から凄く近くて、すぐにお母さんに会えるから、私は言う事なんて聞かずに、いつっも、この公園で遊んでいるんだ。
――お父さんの事を思い出しながら……ね。
今日もいつもと同じように、お母さんがダッシュをして、抱きしめてくれるのを待っている悪い子なの。でも、こんな事しないと、お母さん思いつめちゃうからさ。
(私も考えてるのになあ)
ギーコギーコ。
ゆっくりブランコの軋む音がする。目を瞑りながら考えていた私は、いつの間にか変な体制になってて、目を開けた瞬間に気付いたの。いつもより、空が近くて、高くて、いつの間にか凄い、勢いでブンブン、ブランコが加速してる。
「どうしよう。止まらないよ……うう、届かないよ、足」
まだ低学年の私は、勿論足が短い。どうしたら、こんな状態になったのか自分でも分からなくて、焦ってる、というか……もう泣いてるよね。
「うわあああん」
その後『お母さん』と言いたい気持ちを抑えても、不安で不安で涙が止まらない。このままブランコと生活なんて嫌だよ、なんて思いながらも、頑張って足を伸ばす私がいる。
――無理でしょ。地面につかないレベルだもん。
『おい、どした?』
「うわあああん」
『泣いてちゃ、分かんねぇよ、
「うわあああん」
『だから、どうしたんだよ……ったく、めんどくせー』
お兄さんは正面で私を捕らえて放さないブランコを掴み速度を落としていく。徐々に減速していくブランコを操るお兄さんは
「あれ?止まった??」
『
「……ちがうもん」
『プッ……あははあはは。どんくせー」
見ず知らずのお兄さんに助けてもらえたのは神様が私に助け舟を出してくれたのか分かってる。だけどさ、ここまで笑う必要なくない?子供ながらに傷つくんだけど……。
――そんな私と貴方が結ばれるなんて、誰が想像したかな?
『