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第十四話 エピローグ

 マリオット、ジェラド、パナンの三人は、冒険者資格を剥奪されなかった。


 ガンドルフィが「なんとか寛大な処置を!」と私に頼み込み、私も子どもたちが私の膝の為に今回の事件を起こしたことを知って自分にも責任があると思い、了承したのだ。


 但し、三人はガンドルフィと私からこっぴどく叱られ、さらに一年間、毎日冒険者ギルドの掃除をするという奉仕作業が科せられることになった。


 これには私も含め、ガンドルフィも子どもたちも全員が納得し、了承した。


「はー。大変な目にあった……」


 子どもたちが冒険者ギルドの掃除を終え、薬草採取の依頼に出かけると、私はガランとして静かになった冒険者ギルドで溜息をついた。


 因みにガンドルフィは今日も沼地のパトロールに行っている。

 トロールが討伐され、ボスモンスターがいなくなったマーカロン村は、冒険者に討伐に来てもらう目玉となるがいなくなったと危ぶまれたが、私が代わりのボスモンスターを沼地に放ったのだ。


 それは先日、尻尾しっぽを引きちぎった蜥蜴人リザードマンだった。


 その後もマーカロン村の近くにいた蜥蜴人リザードマンを脅して───いや、交渉して、ボスモンスターとして沼地に棲息するよう強要───いや、頼んだのだ。


 今日も冒険者ギルドの依頼を掲示する壁の上部にはマーカロン村のボスモンスターとして蜥蜴人リザードマンの依頼書が誇らしげに掲示されていた。


 冒険者ギルドに風が吹き込むと、依頼書がはためくのも以前と同じだ。


 長閑のどかな日常だった。


 私は受付嬢の席に深く腰をかけると、背中を背もたれに預けた。


「まさかSランク冒険者で元勇者パーティーの剣聖である私が、冒険者ギルドの受付嬢の椅子に背中を守ってもらうなんてね」


 つい先日まで、自分がこのようなことになるなんて私は想像だにしていなかった。


 だが、私は今の状況に満足だった。


「膝も治ったことになってをする必要もなくなったしな」


 私はニヤリとした後、大あくびをした。


「さあ、それでは皆が帰ってくるまでうたた寝をしよう。この時間が何より幸せだ」


 満面の笑みで椅子により深く沈んだ私だったが、その時、冒険者ギルドの扉が不意に開かれた。


 こんな時間に冒険者ギルドを訪れる人なんて今まで誰もいなかったので私は驚いた。

 私は飛び起き、慌てて居ずまいを正した。


「い、いらっしゃいませ。冒険者ギルドにようこそ。何か依頼をお探しですか?」


 私は相手は誰だろうと思ったが、どうやらだった。

 冒険者風の男はツカツカと私の前まで歩みを進めた。


「いや。ここには人探しできたんだ。を探していてね。心当たりがないか尋ねたかったんだがその必要がなくなった。今まさに探していた人を見つけることができたよ」


 私はハッとした。

 なぜなら私はこの声にがあったからだ。

 私は柔らかな鳥の羽で撫でられたかのように全身を鳥肌が立が駆け巡った。


「あ、あなたは……!」


「探したよ、シルヴィア。まさかこんな田舎の農村で冒険者ギルドの受付嬢をしているなんて……」


 冒険者風の男が目深まぶかにかぶっていたフードをおろすと───。


 私が王都にいたときに所属していたSランク冒険者の勇者パーティー。


 そのパーティーのリーダーであるがあらわれた。




【第一部・完/後書き】


 お世話になっております。柳アトムです。

 これにて「冒険者ギルドの受付嬢ですが元勇者パーティーの剣聖というのはナイショです」は「第一部 完」です。

 ( ᵕᴗᵕ )


 ここまで私の小説を読んでいただきまして本当にありがとうございました。

 貴重なお時間を割いていただきましたこと、心より感謝申し上げます。

 ( ᵕᴗᵕ )


 本作はネオページ様の『テーマ短編プチコンテスト「第1回異世界ファンタジー」テーマ:魅力的な受付嬢』に応募する為に書き始めました。


 お題をいただいてから大急ぎで書き始め、締め切りに間に合わせる取り組みをしたことがなかったので挑戦してみたく思った次第です。

 あと、多くの諸姉兄がネオページ様で評価を獲得している姿を拝見し、私も何か実績をあげたいと野心が芽生えたこともあります(←生意気にも笑

 そしてあわよくば私も契約作家様に……ぐへへ、などゲスい下心も腹に潜めております(笑


 そんな私の小説を最後まで読んでいただきまして本当にありがとうございました。

 ( ᵕᴗᵕ )

 なんの宣伝もしていないのに多くの皆さんに読んでいただき、コメントやいいねをいただき本当に嬉しかったです。私はとんでもない果報者です。

 ネオページ様で繋がる作家の皆さま、そして読者の皆様は本当に暖かで、ここは素晴らしい創作の場所だと感謝しております。


 さて、本作は一応、エピローグで結んでおりますが、最後に勇者を登場させ、続きが書ける入り口は開けておきました♪

 コンテスト終了後に続きを執筆しようと思います。

 (๑•̀ㅂ•́)و✧

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