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第100話 魔法少女2度目の降臨!

4人は最奥の手前の踊り場にたどり着いた。

扉の向こうからは不穏な気配が漏れ出していた。


4人が頷く。

茜は真っ赤だ。


「うむ。それでは茜、頼むぞよ」

「……………はい………」


キラキラした目で見つめる3人に、茜の恥ずかしさは過去最大レベルまで上がっていった。


「くっ………」

「輝く…瞳は希望の光…纏うピンクは愛の……証…みんなの…アイドル…ズッキュン、キュン…魔法少女キラリン茜…みんなのはーと…くぎづけよ♡」


『魔法少女!世界を救う!!ここに降臨!!!』


何故か変わったナレーション。


ピンクのひらひら派手派手衣装に可愛いステッキ。


両手をクロスさせ杖を持つ手は小指を立て、もう片方は顔に向けてピースサイン。顔にはかわいいウインク付き。


「今じゃ!」

「おう」

「はい」


扉を開けて茜が飛び込む!!


「ラブストーム、極み♡、えーーーい♡」


茜を中心に七色の閃光が広間を駆け抜ける。

おびただしい数のスライムが蒸発するように浄化されていく。


「ぐうああああああああああーーーーーー」


中央から絶叫が聞こえた。


「神器開放!!」

「はああああああああああああああ!!!!!!」


神器を装填しながら茜は気合を入れる。


皆の想いを胸に秘め、聖剣はほとばしる緑を纏い、音を立てながら琥珀が吹き上がる。

刃は5mを超えた。


「いっけーーーーーーーーーー!!!!!!」


真直ぐに振り下ろされた聖剣は、ノアーナそっくりのスライムを切り裂き、一瞬で蒸発させた。

部屋の中の不浄な気配が一掃されるっ!!


「おおお、可憐でさらに美しい!!」


見蕩れるギルアデス。


「くくくっ。これはかなわぬわ。我も修行じゃな」


微笑むセリレ。


「魔王様の周りは化け物ぞろいだな……可愛いけど」


うっかり本音が出るラスタルム。


こうして脅威の浄化は完了したのだった。


その後4人は念のためギルアデスの魔眼を使い、隅々まで調査を行い、今回の事件は終結を見た。


※※※※※


「ぐああああああああああああああああ」

「いてええええ、いてえええええええええええええあああああ」


どこだかわからない広い場所で、消される瞬間に転移したスライムの欠片が絶叫していた。

存在をほとんどなくしながら………


そして……………


それはスライムの因子を含んだ、ただの黒い小さな鉱石に身を落とし、永遠の眠りについた。


もう、活動することはないだろう。


※※※※※


「ねえ最近嫌なことが多いよねえ、皇后さまのお部屋係のハルイナ、盗賊に襲われたらしいわよ」

「えっ?それって大丈夫なの?」

「身ぐるみはがされて、襲われそうになった時に、なんか旅の人に助けられたみたいだけど?どうなんだろ?」

「今はどうしているの?」

「お城の救護団で手当てしてるって」

「ふーん。じゃあよかったじゃん」

「まあねえーでもいい気味」

「ひっどー」

「だってあの子、ダリルに色目使うのよ?私が付き合っているの知ってるくせにさ」

「何言ってんのよ?ダリル殿下でしょ?あんた不敬罪で捕まるよ。大体そんなわけないでしょ?婚約者いらっしゃるじゃない」

「関係ないわ。私たち本気なの」

「?どうしたの?あんたおかしいよ?」

「いいの!愛し合う運命なのよ私たち。ええ運命なの。彼は私を見るとはにかむのよ?」

「……………」

「もー本当なんだからね」

「わかったわかった。ああ、もうこんな時間だ。交代するね。あんたは遅番か」

「もう。うん、お疲れ様」

「お疲れ様、じゃあね!」


…………………


今話したの誰だっけ?


まあいいや面倒くさい。

私にはこの宝石があるんだから。


彼女はそっと、さっき拾った黒い宝石を見つめた。


石を見ていると、ダリルへの想いがどんどん湧き出してくる。

この石は私に勇気をくれる石だ。


大切にしよう。

私の宝物だ。


奪われないように、封印できる箱にしまっておこう。

これで誰にも見つからない。


ああ、ダリル……

あああ、あの女!犯されて死ねばいいのに!!!


この世界は私とダリルのものなのに…………

全部死ねばいいのに………


私たちだけの世界に雑音はいらない………


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