真澄との件があって2日後、女子野球同好会廃部まで残り10日。
教室にて、2時間目の中休み、私と梓は互いに自分の席に座りながら、複雑な表情しながら悩んでいた。
梓「中々部員が見つからねぇな…。」
涼子「当たり前だろ、そう簡単に入って来るわけが無いだろうが。」
梓「だよな、もういっそさ、1人位は未経験者でも良いから入って来ないかなぁ…。」
数日前、予想外にも梓は人助けをしただけなのに、経験者で中学時代盗塁数80超えの記録保持者にして『金澤中の韋駄天』の異名を持つ、佐渡蒼が加入して部員数は5人、残り4人となった。
しかし、あの日以降、真澄は私に近付く事は無かった。いや、不良である今の真澄と私が関わってしまったら、不良達は私を始め、部員達に危害を加えて来る可能性が有るから、だから自分から距離を取っているのだろう。
私がそんな事を考えていると、1人の金髪ギャルが私達2人の会話にひょこっと割り込んで来た。
金髪ギャル「ねえねえ!一体何の話をしてんの?」
突然の乱入者に私は兎も角、梓は思惑する。
梓「………誰?」
涼子「誰って、お前なあ…。同じクラスの赤城ねねだよ。」
ねね「私の名前知ってるんだ!実はずっと前から2人のこと気になってたんだけど、何だか話しかけづらくてさww」
涼子「あ、そう?」
ねね「それでさ、さっき言ってた部員って何?入部希望者でも募集中なん?」
涼子「ああ、実はな…。」
私は、女子野球同好会の部員募集の事を赤城に説明する。
ねね「へー、そうなんだ!私も入部したいな。私、運動めっちゃ得意だし!!」
梓「運動得意って言われてもな、野球は遊びじゃねえんだぞ?」
涼子「そもそもだ。赤城さんは前に何か部活でもやってたのか?」
ねね「うん!実は私ね、中学の時は陸上部だったんだー!しかも短距離!」
なる程な、陸上の経験者、しかも短距離走者か…。確かに赤城見たいな足の速い奴が入れば、同好会の良い戦力になるだろう。
ねね「でしょでしょ?私、足だけは滅茶苦茶速いんだ!!こう見えて全国行った経験有るんだよ!!」
しかもおまけに全国経験者、これは良い掘り出し物だと思った私は赤城の即戦力になると確定し決めた。
梓「涼子、どうする?」
涼子「短距離走で全国経験者か、悪く無いな、入部歓迎するぞ赤城。」
ねね「マジで?やったー!!!」
梓「まだ部員は足りてねえけどな。」
涼子「あ、それと赤城さん。1つ確認しとかなきゃいけない事がある。」
ねね「何??」
涼子「実は私たちの女子野球同好会、後10日で廃部になりそうなんだ。それでも大丈夫か?」
ねね「えぇ?!廃部って何よ、冗談でしょ?!?!?」
梓「てか、説明の最中に言っただろうが。」
ねね「あー、そうだったっけ?」
ど忘れする赤城。
涼子「兎に角そういう状況なんだ。残りの部員はあと9人。今日入って来た赤城を含めてもまだ3人足りない。それでも大丈夫か?」
ねね「うわー…でも廃部になるのは絶対嫌だ!!折角入部した部活だもん!私も部員集め手伝ってあげるね!!」
こうして、元陸上部短距離走者にして全国経験者の赤城ねねが女子野球同好会に加わり、見事6人となった。残り3人。