ねね{名前呼びを強要された}が入部したその日の放課後、今日の放課後の勧誘は無しにして女子野球同好会部室もとい体育倉庫付近にて運動着姿で練習する私達。
主将である私は先ず、ねねの実力を知る為に蒼と100m走で競う事にした。
涼子「一応、タイムアタック形式で行うから全力で走れよ。」
ねね「オッケー!」
蒼「了解しました!部長!」
涼子「それじゃあ位置に付いて、よーい、スタート!!」
私の掛け声と共に2人は同時にスタートダッシュを繰り出し、全力でゴールに向かって走り出す。ゴールにはストップウォッチを手に持った記録係の品川と池袋の2人が立っていた。
ゴールへと向かって駆け出す2人、最初に前に抜けて出たのは元陸上部経験者である。ねねの方だ。全国に行った実力は本物らしく滅茶苦茶速い。だが、佐渡も負けじと必死にねねを追い抜き駆ける。
だけど、ねねも負けずに佐渡を追い抜き、対する佐渡もまたもや追い抜き返す、そんな繰り返しを続けたまま、2人はゴールへと同着する。
花蓮「おおーっ!凄い記録だよ蒼っち!」
桃華「
2人の記録が凄いのか、はたまた、2人の脚の速さが凄かったのか、遠くから5人の楽しい会話が聞こえた私は直ぐ様にゴール地点へと駆け出し、皆と合流してから、私はギャルコンビに佐渡とねねの記録を聞き出した。
涼子「それで記録係、2人のタイムは?」
花蓮「それがね、凄いんだよ!2人共同着ながら11秒台切っちゃったんだから。見て見て!」
桃華「これだよこれ!」
花蓮と桃華の2人はストップウォッチのタイムを確認する、佐渡は10秒39、ねねは10秒41。ギリギリの差ながら脚の速さは佐渡が勝った見たいだ。とは言え…。
涼子「2人共に11秒台を、凄い記録だな。」
ねね「そうでしょそうでしょ!!」
蒼「ギリで負けてるのに気にしてないんすね…。」
梓「とは言え、ねねの戦力は間違い無く確定だろ?涼子。」
しかし、私は腕組みをし複雑そうな顔をしながら、ねねを見つめた。
涼子「いや、果たしてどうだろうか?」
ねね「…へ?」
この後、私達は直ぐ様に守備練習である長距離ノックへと切り替えた。捕手である私がノック役を受け持ち、それ以外の5人のはフライを捕る為に並び集めていた。ねねが先頭に立つ。
涼子「良し!次はねね、行くぞ!」
ライトへと向けて高く打ち上げると共に、ねねは打球を追い掛ける。
ねね「え?え!?わわっ!!?待って待ってーっ!!」
地面に落球した球をねねは追い掛ける。
涼子「………これで5回連続ミスか。」
梓「なる程な〜。脚の速さだけじゃ、選手としては芽生えねぇって事か?」
すると、梓が私の元へと駆け付けながら、ねねの事を話し掛けて来た。
そう、梓の言う通り、ねねは高い機動力を持ちながら、それ以外は素人だからだ。しかし…。
涼子「そうとは限らないぞ。」
梓「どう言う事だ?」
涼子「良く見とけよ。」
そう言い私は一度だけ高く打ち上げると、打球の方向へと向かって、見上げながら、ねねは全力で駆け出して行く、打球が落ちる位置にキャッチの体勢に入るも、ねねの背後数メートルに落球する。
涼子「梓の言う通り、キャッチは出来て居ないが打球が落ちる出現地点近くに居ながらキャッチの体勢へと入っている。」
梓「そう言われて見ると、確かにギリギリ近付いてんな。」
涼子「このまま続けて慣らせれば、守備としての良い戦力になるだろう。」
それからも何度かねねにノックさせ続けるが、結局は一度もフライをキャッチ出来ずに終えてしまう。
そして、残りのトスバッティングの練習でも、ねねは球に向かってフルスイングし続けるも、結果、全球空振りで迎えてしまうのであった。
兎に角、一先ずは慣らせるまではこの練習を続けるとしよう、と思った私であった。