夕方時の、ある河川敷にて、不良グループ達は先程の喧嘩沙汰に勝った事を思い出しながら笑い歩いていた。とくに頼館高校の中で1番恐れられてる不良グループの女リーダーである
逸見「いやー、それにしてもあいつめっちゃ吹っ飛んでったよなwwww」
2年不良女子A「そうだな、途中で気絶したの見て笑い死ぬかと思ったわwww」
逸見「彼奴、暫くは来れないだろうな、うちの学校になぁw」
先頭を歩く逸見ら上級生達は今日起こした悪事の内容を楽しく会話する、そんな様子を見つめ歩く1年生ら下級生組の不良女子達は呆れた顔しながら、先輩達の会話を大人しく耳にする、そんな中、1人だけ別の事を考えてる人物がいた。
真澄「………。」
そう、真澄であった。
彼女はあの日以降、この不良グループ等が涼子に害を与えない為に、自ら近付か無い様にしていた。しかし、真澄は涼子と再会したあの日の去り際に言った言葉を思い出していた。
真澄の回想:涼子『……実はさ、私達、女子野球部を設立する為に人数集めてんだ。もし、もしもだ。またお前が野球やるって思いが残ってるならさ、何時でも私に声を掛けてくれ。待ってるから。』
真澄「っ………。」
そんな真澄の様子を見つめる、2人の不良女子もとい真澄の友人は彼女の様子が可笑しい事に気付き、逸見達上級生らに聞こえ無い様にヒソヒソ声で何があったのか話し込んでいた。
右隠れ前髪「なぁ、最近、真澄姐さんの様子よ、可笑しく無いか?」
ニット帽「よね、ウチ等のどっちか或いは一緒に呼び掛けても無反応だし…。」
2人は真澄の事を心配そうに話してると、突然、真澄は足を止め2人はぶつかり道に尻餅を付く。
右隠れ前髪「うわっ!?」
ニット帽「わわっ!?す、すみません姐さんっ!?………って、姐さん?」
真澄「………。」
突然と真澄は歩く足を止め、ある方向を見つめる、2人も真澄の目線に写る、野球場にて何処かの少年野球チームが試合をしていた。同じユニフォームの上に赤と青のゼッケンを着けてる為か恐らく紅白戦だろう。
少年野球チームの少年たちが野球の練習をしている姿を見つめる真澄。その時、不良女子グループの一人が真澄に向かって言う。
右隠れ前髪 「あの、真澄姉さん?」
真澄「………え?ああ、少し昔の事をな。」
するとファウルボールが逸見達上級生らの足元のド真ん中の道に当たる。
逸見「うわあっ!!?」
その球は何度かバウンドをしてから真澄は右手で掴んでキャッチする。2年の女不良達は少年達に怒鳴り散らした。
2年不良女子A「おい!このバカ野郎!どこ狙ってんだよ!」
2年不良女子B「マジふざけんなよな、死にてぇのか!!」
少年たちは戸惑いながら、互いに責任を押し付け合うだけだった。そんな様子を見ていた真澄は、ゆっくりと少年達に近づく。
ニット帽「ね、姐さん?」
相手をデッドボールにした恐怖で投げる事は出来ずとも、真澄は1人の野球少年に向かって球を優しく渡す。
真澄「………ほら。次からは気をつけて練習しろよ。」
野球少年A 「あ、ありがとうございます。」
野球少年:B 「おい、次はちゃんと前見て投げろよ!」
少年達は安堵のため息をつきながら再び練習に集中する。真澄はそんな少年達を暫く見つめた後、やがて視線を外し前へと歩く。その時、不良グループの1人が真澄に尋ねる。
2年不良女子A 「おい真澄、何でそんな餓鬼共に優しくしてんだ?殴れば良いだろうが!殴れば!」
真澄「………あんなのは単なる事故に過ぎません、子供がやった事です、余り責めないで下さい。」
2年不良女子「チッ…。」
逸見「おい、真澄。」
逸見は舌打ちしながら真澄に近付く。
逸見:「お前がそんな餓鬼共に優しくする必要何てねえだろ。ただボーっとしてねえでよ、彼奴等の何人か捕まえて謝らせようぜ。そうだろ?」
真澄「………逸見先輩、たかだか子供相手にそんな事をすれば、不良としての立場は恥ずかしくなります。それでもやるんですか?」
静かに逸見を睨み見つめる真澄、逸見は再度、舌打ちしてから『分かったよ』と答えると不良グループらは再び移動する。
歩きながら考え込む真澄。あの野球少年たちの姿が頭から離れない。もう一度野球がしたいという思いが湧いて出て来た。
自分と涼子とのバッテリー時代を思い出す。
目を閉じて、昔の思い出に浸る真澄。涼子との野球生活がとても懐かしく思える。また、そんな日々をもう一度味わいたいと思うようになる。
逸見「そうだ。お前等に良い知らせだ!2日後に
1年不良達『は、はいっ!!』
真澄「………はい。」
近々行われる抗争に、真澄を除く1年生らは大きな声で返事を返す。そして真澄はもう後戻り出来ないと察したのか、心の中で涼子に謝罪をした。
真澄{……御免な、涼子、私はどうやら、抜け出せない底無し沼に嵌り落ちたかもしれない。彼奴が、逸見が居る限りは。もう野球何て…。}