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第45章:第二ラウンド

あらゆる争いには、剣の轟音よりも沈黙の方が重みを持つ瞬間がある。


混乱の前の静けさが心臓の鼓動をゆっくりにさせるまさにその瞬間…避けられないものを聞くことができるのです。


名前が書かれてあります。


辿った道。


そして、単純な競争のように見えるかもしれないが、あらゆる選挙、あらゆる対立は、すでに崩壊の危機にある世界に新たな亀裂をもたらすものである。


なぜなら、重要なのはアリーナで誰が勝つかではなく、勝つことですべてを失う可能性があるときに、誰が自分の大義を貫き通せるかだからです。


祝賀会に偽装されたパーティの金色に輝くホールに笑い声が響き渡る一方で、はるか向こうの影の中では、王国の進路を決める糸がすでに引かれ始めていた。


そして、秘密の任務、まだ血が流れる傷、そして忘却から蘇る名前の間で、プレイヤーはボード上に配置されました...しかし、彼らはまだ自分たちが駒なのか、それとも単なる犠牲なのかを知りません。


ゲームは続行されます。


戦争はトーナメントに偽装する。


そして第二幕は…


…が始まります。


————————————————————————————————————————————————————————————————


宙に浮かぶカメラが、かすかな羽音を立てながら天界のコロシアムを巡っていた。舞台は完璧だった。輝く大理石の床、金色に縁取られた柱、そして頭上には、永遠に続くかのような星空が広がっている。




中央の壇上に立つヘルメスは、鮮やかなマントを整えながら、脈打つように光る魔法の球体を見下ろした。




「皆さんもご存知の通り…」


彼の声が会場に響き渡る。


「試合形式は、昨年の大会でより高い順位を取った学院が選ぶことができます。1対1か、チーム戦か、あるいは混戦か。戦略に合わせて、あるいは純粋に“面白さ”で選んでも構いません。それでは…始めましょう」




神々の評議会のメンバーたちが一人ずつ壇上に進み、不思議な紋様が刻まれた球体を選んでいく。観客たちの視線が、その一つ一つに吸い寄せられた。




最後の球体を手にしたのはアヌビスだった。感情を表さないその表情は、古代の仮面のようだった。




すると、二つの球体が強く輝き始める。




「最初の対戦カードは…ビモラ学院とミガッツ学院!」


ヘルメスの声に、ざわめきが走る。


「ビモラの代表はパチャママ神。ミガッツはオグン神。そして去年の順位により、形式を選ぶのはビモラとなります」




アフロディーテが小さく息を吐いた。


「中堅同士の潰し合いね…これで、本番はますます厳しくなる」




続けて、別の二つの球が発光した。




「次の対戦は…GODS学院 対 ズターツ学院。代表はそれぞれゼウスとウィツィロポチトリ」


場の空気がピリつく。




「今年も失望させないでくれよ、ゼウス。あの少年以降、君たちはただの下り坂だ」


ウィツィロポチトリの挑発に、ゼウスが目を細めた。




「二度言わせるな。黙れ、羽虫」


「言うだけなら誰でもできるさ。今のお前じゃ、昔の2%も力は残ってない」


「0.00001%で十分だ。お前の顔を地面にめり込ませるにはな」


「やれるもんならやってみろ、老いぼれが」




火花が見えない場所で飛び交い、観客席の生徒たちはそれぞれの思いを胸に沈黙していた。




ヨヘイは、口元に笑みを浮かべながら心の中でつぶやいた。


(ズターツか…叩き潰してやる)




シュウの額には冷や汗がにじんでいた。


(あそこにはゴールドランクのトップ10がいるって聞いた…俺に勝ち目はあるのか?)




サラは静かに目を閉じていた。


(お父さん、お祖父ちゃん…勝ってみせる)




遠く、暗い部屋に縛られたイサクが、傷だらけの姿でぽつりとつぶやいた。


「…みんな、頑張れ」




最後の対戦カードが浮かび上がる。




「ネデ学院 対 ウェティンズ学院!」


ヘルメスの声が天に響く。


「代表はアヌビスとマフイカ。ネデは昨年準優勝の学院だ」




「手加減してね、アヌビス坊や」


とマフイカが微笑んだ。




「努力します…マフイカ様」


アヌビスが軽く会釈する。




「いい子だわ。もし手を抜いたら、呪ってやるからね」




ヘルメスが締めくくる。


「以上で、今年の第二ラウンドの組み合わせが決まりました。次回は、いよいよ準決勝、そして決勝戦となります。お楽しみに!」




映像がゆっくりと消えると、生徒たちは静寂の中でそれぞれの表情を浮かべていた。




「ご覧の通り、私たちGODSの対戦相手は、アステカのズターツ学院」


アフロディーテの声が空間を切る。


「彼らの領域で、彼らのルールに従って戦うことになる。だから今から、他地域での特殊任務を通じて実戦力を測る。その結果で、代表を決める。質問は?」




「ありません!」


生徒たちの声が重なった。




「…なら、楽しみなさい。今夜くらいは、少し息をついていいわよ」




光が戻り、音楽が再び流れ出す。乾杯の声と笑い声。


だがその笑顔の裏にあるのは、不安と覚悟だった。


そして、その先に待つものは――火薬の匂い。




楽の音が宴の大広間を包み、グラスの鳴る音と笑い声が空間を満たしていた。しかし、その華やかさとは対照的に、バルコニーでは張り詰めた空気が漂っていた。




「今度は何を企んでるの、ポセイドン?」


アフロディーテが睨みつけると、海神はゼウスの印が封された巻物を差し出した。




「特別許可だよ。ゼウス様ご本人からいただいた。ある任務のために、生徒を数名選ぶ許可だ」


そう言って微笑むポセイドンに、アフロディーテの眉が跳ねた。




「任務? また何か馬鹿げたこと考えてるんじゃないでしょうね」


「文句があるなら、あのお方にどうぞ。でも、俺の選んだ子たちは連れて行くから」




水でできた矢が突如として空気を裂き、ポセイドンの顔を正確に狙った。だが、彼は身をひねり、それを避ける。矢は後方のサファイアの壁に突き刺さり、爆ぜた。




「…任務は、もう始まったようだね」


ポセイドンの視線の先、海の向こうに巨大なイカの頭が、まるで最初から全てを見ていたかのように、ゆっくりと深海へと沈んでいった。




「何なんだ、今のは…?」


騒ぎを聞きつけて駆け寄ってきたヨヘイが、眉をひそめて周囲を見渡す。




「しかも、なんで俺たち三人だけ?」とユキが続ける。「あの怪物は何なんだ?」




「それを、私も知りたいところね…」


そう答えたアフロディーテの視線は、怒りと困惑が混ざっていた。




「君たち三人は、特別任務のメンバーに選ばれた。行き先は――アトランティスだ」


その言葉に、場の空気が一変した。




「アトランティス? 潜入任務か? 完全にイカれてるな」


ヨヘイの声に、ポセイドンは静かにうなずく。




「狂ってなどいない。数年前、俺の息子トリトンが反乱を起こして王位を奪った。以来、あの王国は閉ざされた。俺が直接入れば、全面戦争になる。だが、最近彼らは独立を宣言した。世界連合は介入を考えている…その前に、情報が必要だ。君たちが目となり耳となる」




「どうして、そんな危険な任務に私の生徒を使うのよ?」


アフロディーテの怒りは止まらない。




「生徒なら、怪しまれない。交換留学という形なら、潜入も可能だ。…うまくいけば、戦争を避けられる」




「で、一番重要なことを教えろ」


ヨヘイが腕を組みながら問う。「この任務、何ポイント分なんだ?」




「…生きて帰ってきたら、わかるさ」


その答えに、ヨヘイがニヤリと笑った。




「よし、乗った」


「私も」


ユキの声には決意が宿っていた。




全員の視線が、無言のゼフに向けられる。彼はしばらく海を見つめていたが、やがて無言で頷いた。瞳には、抑えきれない怒りが宿っていた。




「完璧だ。明朝、港から出発だ。連れて行くのは…ジェイソンだ」




はるか海の底。古代の遺跡に囲まれた珊瑚の森。その中心に、ガラスのようなカプセルが眠っていた。




その中、黒曜石で彫られた玉座。座るのは青い肌の若き王、トリトン。




「…申し訳ありません、閣下。ポセイドンに気づかれて…任務は失敗しました…」




兵士の報告に、トリトンは静かに玉座を下りた。その一歩ごとに、海底がかすかに揺れた。




「使えないな…」




巨大なサメが闇から現れ、兵士を一息で喰らった。血が静かに水中に滲む。




「準備しておけよ、父上。もうすぐ…会いに行く」

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