そう呼ばれる暗い森の入り口に、私は立っていた。
来るものを
……という
この森を
その一つは、マナが見えること。
他は分からないけれど、私はその条件を満たした人間だ。
私は
どう考えても、この森の中は暗い。
この白いマナを
白いマナを
すると、草たちがざざざ、という音と共に
「行くわよ」
幻惑の森の中を一歩、また一歩と進んでいく。前は開けていくが、後ろは逆に閉じていく。五歩も歩くと、辺りは真っ暗になってしまった。
ワンドを
どす黒い影
黒は、初めて見た。
私は
それを表すのが、この
白いマナの光でなければ、あっという間に
見上げても黒い枝葉しか見えず、陽光を完全に
「なんだかわからないけれど、絶対に
そう
不思議なことに草だけではなく、木々まで動いていた。
(これは……
旅人はこういった森に入った場合、木に目印をつけて
しかし、この森はその木々が動いているのだから、全く目印にならない。
そもそも、こんな夜よりも暗い森など、中々ないんじゃないだろうか。
「これはあなたと私の勝負なのね。いいよ、何日だってつきあってやるわ!」
私がそう言った、その時だった。
右手に、
「え?」
まさか、と思いつつ、その光に向かって行く。
ここが幻惑の森と呼ばれているのだから、あの光は
しかし。
その光の先には、草原が広がっていた。
「もう
歩いていくたびに、目映い日の光が強くなっていく。
「……ありがとう、幻惑の森さん。帰りもよろしくね」
その言葉が
こうして早朝に幻惑の森に入ったのだけれど、抜けた
目を正面にお戻すと、ひたすら広い草原があった。
この草原を
私は思わず
本来ならばラミナの街は、幻惑の森から徒歩で二十五日くらいかかる。
辺りには人気がなく、陽光を浴びた木がまばらに並び立ち、その下に二
人の手が入っていないせいか、無数のマナが
私はここで
ここまで重量変化の法術しか使っていないのでそれほど
私は木箱を下ろし、
マナの法術を使うと、
でも、より多くのマナを使い、大きな効果を得られる法術を使うと、この
マナは、この世界の力だ。
それをたかが人間ごときが使うのだから、それなりの
私は
マールの村から外に出るのは初めてだから、この法術を使える人が他にもいるのかを知りたい。
もしいるのなら、話を聞いてみたい。
でも村の人たちの反応からすると、たぶんマナを見ることができる人間はほとんどいないと思う。そうなると、こんな
しかし私は、マールの村で待つお父さまやお母さま……そしてハーラルのためにも、一刻も早く仕事を済ませて帰りたかった。
幸い、幻惑の森は私の味方をしてくれている。
私はパンを食べ終えると、立ち上がって木箱をに目を向けた。