星空が見える。
私は
マールの村に生きているものは、今や
絶対に、この光景を忘れてはいけない。
短かったけど、この村で学んだこと、この村で過ごした日々。
絶対に。
絶対に。
一人、ずぶ
その後、
こんな私に好意を寄せてくれた男の子、ハーラル。
何気なく手にした棒で、初めて法術を使ったこと。
うん?
私は目を見開いて、むくっと上体を起こした。
あの時……私は、なんて言ってた?
“……読める。古語だけれど、私にとってはなんの問題もない。”
こご?
古語?
私は……なにもの?
ゆっくりと立ち上がって、湖面に
「お父さま、お母さま。私を助け、名前まで
私はイーヴァじゃない。
今から“マール”だ。
マールは、
森の中を歩いている時、一本の
まるで加工されているかのように、立派な杖だった。
しかも
これは、森からの
「幻惑の森よ、ありがとう。私、行ってくるね」
私は森の四方に向かって頭を下げ、そのまま森を
記憶も故郷もない私が行く場所なんて、ラミナの街以外にはない。
また『有翼の法術』で飛んでいこうとも考えたけれど、それほど急いでもいないし、色々と考えたかったので、今度は徒歩で行くことにした。
正直、
こんな気持ちで、
果てしない草原に、杖つきながら南に向かって歩き続ける。
私はマールの村、ラミナの街で見た文字を“古語”だと思った。
ということは、もう一つの言語……仮に新語、とでも呼んでおこうか。
これを使っている場所があるはずだ。私は、書物で得た知識しか持っていない。書物は書物、記された時から自動で
つまり、私は現在のアレンシアを何一つ知らない。
もしかしたら、この辺りは
そこではきっと最新の技術……例えば私が使える法術や、新語が日常的に使われているはずだ。
そこを目指そう。
その場所に行けば、失われた記憶も
だから、まずラミナの街に行ってしっかり情報を集めよう。
私は顔を上げ、しっかりと前を
あの惨事から二十日後。
私は予定よりも早くラミナの街に
ここまでの道のりでもそうだったけど、私の容姿はどうも衆目を集めるようだ。
これはマールの村の本にあったことだけど、人間、フォレストエルフ、ハーフエルフ、ドワーフなどの陽種族(ロウレイス)は、
特に瞳、髪、
フォレストエルフは長く尖った耳と、きつね色の肌で、すらりと細く、
ハーフエルフは人間とフォレストエルフ、ダークエルフとの子供で、フォレストエルフとの子ならば陽種族、ダークエルフとの子ならば闇種族となる。耳の
ドワーフは身長こそ低いが筋骨
闇種族はその名の通り、闇に落ちたエルフと言い伝えられているダークエルフ、三メルを
でも、彼らの勢力は主にアレンシアの北西から中央にかけてなので、南で彼らと
それにもかかわらず私が目立っているのは、この
でも、そんなに
あまり見られるとなんだかむず
私は様々なことを考え、ある程度の結論に至っていた。
マナには自然から発せられるものと、生物から立ち上るように
それに比べて水色は風から、緑は草木から、茶色は大地から、青は水から現れる。
白は太陽と火のマナだ。
でも、これで全てではないと思う。
幻惑の森で感じたあの闇は、おそらく
その発生源はわからないけれど、これから