学校が設立され、平民の子供たちが続々と入学してきたものの、数週間も経たないうちにその数が急減していった。セリカはこの状況に驚き、次々と学校を辞める子供たちの理由を探り始めた。彼女にとって、学校は平民に教育の機会を提供し、優れた人材を発掘する重要なプロジェクトであるはずだった。しかし、今その試みが頓挫しようとしている。
「一体何が起こっているの?」
セリカは自室で領地運営に関する資料を広げながら考え込んだ。学校に行くことで新しい未来が開かれると子供たちに説明しても、なぜ彼らはすぐに学校に行かなくなってしまうのか。彼女にとっても、この事態は非常に不思議であり、納得できる答えを見つけることができなかった。
「どうしてこんなことになっているのかしら……」
一人で考え込んでも解決しないと感じたセリカは、エル・ドライドを呼び出すことにした。彼なら何かしらの助言をくれるかもしれない、と期待していたのだ。
エル・ドライドはすぐにセリカの元へと現れた。彼は礼儀正しく、いつもの冷静な態度でセリカの前に立つ。
「エル・ドライド、学校で子供たちが次々と辞めてしまっているの。どうしてだと思う?」
セリカの問いかけに対し、エル・ドライドは少し考え込む素振りを見せたが、すぐに肩をすくめた。
「さあ、それはわかりかねますね。新しい制度が導入されれば、何かしらの反発や予期せぬ問題が発生することもあります。それが教育であろうと、変わらないことでしょう」
「それはわかるけれど、具体的に何が原因でこんなことになっているのか、何か考えがある?」
エル・ドライドはさらに少し考えた後、静かに言った。
「一つは、教師たちの教育に対する姿勢かもしれませんね。平民の子供を教えることに対して、彼らがどのような感情を持っているか。それによって子供たちが何を感じているのかを考えるのが一つの手かもしれません」