ある晴れた朝、ディオール公爵から派遣された新任教師、カトリーヌ・ダッチが学校に着任した。彼女は初日から期待と注目を集めていた。教育熱心であり、生徒たちにも良い影響を与えるだろうとの評判を伴い、迎えられたカトリーヌだったが、教室に入るなりその予想は大きく覆されることになる。
カトリーヌは教室の扉を開けた瞬間、大きな笑顔で元気よく「おはようございます!」と挨拶をしたものの、勢い余って躓き、派手に転んでしまった。彼女の着ていたスカートの裾がふわりと舞い上がり、教室内は一瞬静まり返ったが、次の瞬間、生徒たちの笑い声が爆発するように響き渡った。
「先生、大丈夫ですか?」と数人の生徒が心配して声をかける一方で、クスクスと笑い続ける生徒も多かった。
「ええ、大丈夫よ!」とカトリーヌは恥ずかしそうに顔を赤らめながら立ち上がり、ドジな一面をあっけらかんと見せつつ授業を始めた。このような教師は生徒たちにとっても新鮮で、彼女の登場と同時に教室には和やかな空気が流れ始めた。
授業が始まると、カトリーヌは一人一人の名前を読み上げながら出席を取る。しかし、カトリーヌはなぜか生徒の名前を何度も間違え、クラス中が再び笑いの渦に包まれることに。例えば、「アレックス」という名前の生徒を「アリス」と呼んだり、「ミナ」を「ナミ」と呼んだりするなど、次々と間違いを連発した。
「先生、僕はアリスじゃなくてアレックスです!」と、間違われた生徒が少し照れくさそうに指摘すると、「あら、ごめんなさい!アリスとアレックス、似てるじゃない?」とカトリーヌは笑顔で返した。このやり取りもまた生徒たちの笑いを誘い、すでに「カトリーヌ先生、天然なの?」と話題になり始める。
授業の内容に入ると、カトリーヌは教科書を片手に掲げ、生徒たちに「それでは、みなさん、教科書の8ページを開けてくださいね!」と指示を出した。生徒たちは言われた通りページを開いたが、カトリーヌは気づかずに9ページを読み始めてしまい、生徒たちの一人が「先生、ページが違いますよ!」と指摘する。
「え?あら、そうだったのね、ごめんなさい!」と素直に謝りながら教科書を見直す彼女に、生徒たちはますます親しみを感じ、「なんか、授業が楽しい!」と口々にささやき合う。カトリーヌの少し間抜けなところが逆に生徒たちの緊張を解き、授業に対する興味を引き出しているのだ。
このような「ドジっ子先生」のキャラクターが確立されたことで、カトリーヌは早くも生徒たちの人気者となった。次に何をやらかすのかと、彼女の授業には生徒たちの視線が集中し始め、自然と学習意欲も向上していくという、思いもよらぬ効果が現れた。
カトリーヌの登場から数日が経過すると、教室内には「今日のカトリーヌ先生はどんな失敗をするのか?」という期待と楽しみが広がるようになり、生徒たちは彼女の授業を心待ちにするようになっていた。