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第27話

「クソ、マジで当たんねぇな…!」


 俺が呟いた直後、ヴェンデッタが冷たく笑う。


「諦めるのかしら?」


 コロウは一歩前に出て、俺を励ますように言った。

「焦るな、若造。まだ我々は負けていない」


 その言葉と同時に、ダイアリーから馬が疾走してくる。


「探偵!お前を終わらせてやる!」

 レガースの怒声が響き、トンネルで遭遇したあの男が俺に向かって走り寄る。


「また殴られに来たのか?!」

 俺は一度笑ってから、挑発的に叫んだ。

「ははは!返り討ちにしてやるよ!」


「今度は容赦せん!」

 レガースが火炎魔法を唱え、手から炎の弾が飛んできた。


「チィッ」

 俺は素早く左に跳び、炎をかわす。


「ふははは!どうしたどうしたぁ!さっきの威勢はどうしたんだぁ!」

 レガースが高笑いしながら炎を連射してきた。

 俺は走りながら、それを一つ一つ避け続ける。


「なめんなよ、繋がれぇ!」

 俺は叫びながら、魔法の力を引き寄せた。


 次の瞬間、世界は歪み、渋谷のスクランブル交差点に繋がった。


「キャー!」「なんだなんだ!」

 市民たちが驚き、叫び声を上げる。


「どけぇ!どけやぁ!」

 俺は叫びながら、人々を押し退け、目の前のレガースに集中した。


バァン!!


 空に向けて発砲した。

「よし、あいつの背後に繋がるようにイメージするんだ…」

 あいつに対する怒りを胸に、強く叫んだ。

「繋がれ!」


 ヒュン。


 ゲートが現れ、先にはレガースの背中があった。


「おらぁ!」

 俺は全力で走り、レガースの背中にタックルをかける。


「ぐはぁ!」

 レガースがうめき声を上げ、倒れこむ。


 すぐさまゲートは閉じ、俺はレガースの上に馬乗りになり、激しく殴りつけた。


ドゴ!ドゴ!ドゴ!


「バカタレェ!てめぇじゃ何回やっても俺を殺せねぇよ!」

「バカタレがぁ!バカタレがぁ!」


 その時、コロウが冷静に言った。


「ヴェンデッタ、お仲間に伝えろ、悠はすでにウォークを使いこなしている」


 後ろから血まみれの馬2体と共に、ジャックが吹っ飛んでくる。


「うぐあぁぁ!!」


 クライスが冷静に呟く。

「ふぅ、やりすぎたな」


「おい、馬まで巻き込むことはないだろぉ!」

 コロウが文句を言うと、クライスは笑いながら返した。

「射程距離にいるのが悪い」


「くっ…ヴェンデッタ、けた外れの強さだ、さっさと船長に伝えろ」

 ジャックが苦しそうに言った。


「私が止めても、あなたたちはすぐに船までたどり着くわよ」

 ヴェンデッタは冷たく言い、次の瞬間。


「また会いましょう、探偵さん」


 シュン。


 ヴェンデッタは闇に消えた。


「もうこのまま突入するぞ」

 クライスが決断するように告げる。


「オイ、決め技を溜めるんじゃないのか?」

 コロウが尋ねる。


「その必要はなくなったようだ、ダグたちはすでに多くの幹部を仕留めている」

 クライスは無表情で答えた。


「悠、君はここで待機だ」

 クライスが振り返り、俺に言った。


「はぁ!? このままここに居ろってのか!?」

 俺は驚き、声を荒げる。


「君は切り札なんだ」

 クライスは冷静に続ける。

「空へ光の砲撃で合図を送れ。その時は街ごとゲートで包み、大きな湖や海にでも繋いでくれ」


「わかったよ、でももし雪が殺されたら、俺はお前らを殺しに行く、海賊共も皆殺しだ」

 俺は怒りを込めて言った。


「威勢のいいやつだ。良いだろう、その時は返り討ちにしてやる」

 クライスが笑った。


 その後、クライスとコロウは走り出し、ダイアリーへ向かっていった。

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