目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第28話

「おらぁ!」

 ダグが竹槍を振り回し、下っ端海賊を次々となぎ倒す。


「タフだな、薬中野郎」

 ガーゴンが冷ややかな目でダグを見て、呟く。


「誉め言葉か?」

 ダグが不敵に返す。


「多分違うぞ」

 クリスが後ろから現れ、バードリーの血まみれの首をわし掴みにして引きずりながら歩いてきた。

 その姿は返り血まみれで、まるで戦場の魔物のようだ。


「そっちこそ、殺戮を楽しんでるな?」

 ダグがその姿を見て、楽しげに言った。


「分かってるみたいだな」

 クリスは無表情で、顔にこびりついた血をぺろりと舐め取った。


「き、貴様…この私に…こんな仕打ちをぉ…」

 バードリーが必死に叫ぶ。


「アハハ、これから仲間の前でお前の首を切ってやる」

 クリスが冷たく言い放った。

「知り合いだからって、敵は敵だ」


「や、やめてぇええ!!」

 バードリーが悲鳴を上げる。


「おおおお!いいぞぉ!クリス!やっちまえ!あははは!」

 ダグは楽しげに叫び、周囲の混乱を楽しんでいる。


 その時、すたたたた!

 カノンがすごい速さで駆け寄ってきた。


「どいてどいてー!」

 カノンが叫びながら、ガウスと剣を交えている。


 ガウスはバードリーの惨状を見て、唖然とした表情を浮かべる。


「イカレたやつらだ…」

 ガウスが呆れたように呟いた。


「おい、バードリー、何故負けた?」

 ティードの声が響いた。

 気づけば、ティードがいつの間にかバードリーの前に立っていた。


「よォ大将!ここで終わりだぁ!」

 ダグが豪快に叫ぶ。

「いけドルフィンズ!」


 バシャン!バシャン!

 が、ティードは冷徹に剣を構えると、黒い光線を放った。


「失せろ、暗黒砲ガノン」

 ティードの言葉と共に、黒い光線がドルフィンズに直撃し、あっけなく消滅させた。


「ふん!」

 ティードは冷たく吐き捨てた。


「ぐがぁ!」

 ダグが衝撃を受けて、真上に飛ばされる。


「まじかよ…」

 クリスが呆れたように呟く。


 ダグが落ちてくる前に、クリスは素早くソードオフショットガンを取り出し、撃った。


 バァン!


 ダグは吹っ飛び、民家に突っ込んだ。


「暗黒魔法、ブラックボックス」

 ティードが冷徹に呟き、黒い宝箱のような物体が現れた。


「ぎゃははは!」

 ブラックボックスは不敵に笑いながら、舌と牙を見せる。


「こいつらを一掃しろ、ブラックボックス」

 ティードが命じると、ブラックボックスは大きな口を天に向けて開いた。


「ぎゃはは!」

 ブラックボックスは笑いながら、黒い火の玉のような物体を射出した。


「カノン、気をつけろ!何をするかわからんが、やばい気配がする!」

 クリスが叫んだ。


 ヒューン、ヒューン、ヒューン!

 次々と黒の火の玉が降り注ぐ。


「グはぁああ!船長ー!!お助け下さい!!!」

 下っ端海賊たちが叫びながら、火の玉に触れた者たちはその体が燃え上がり、炎に包まれていった。


「そいつは触れると、ブラックボックスかそいつが死ぬまで燃え続ける」

 ティードが冷徹に告げる。


「きゃー!!あっつ!!」

 カノンが火の玉に触れて、燃え上がる。


「カノン!!!」

 クリスが叫びながら、駆け寄ろうとするが、すでに遅かった。


「きさまぁ!カノンを戻せ!」

 クリスが怒りに満ちた目でティードを見つめる。


「ぐはぁあああ!!皮膚がぁああ!溶ける!!」

 ダグも吹っ飛ばされて、燃え続けて悶絶している。


「バードリー、引くぞ」

 ガーゴンが冷静に言い、バードリーを背負って走り出す。


「くっ」

 クリスが怒りを抑えながら、歯を食いしばる。

「逃げられる…もう少しで殺せたのに」


「皆さん!治癒します!ヒーラ!」

 メントの声が響き、杖を構えて回復魔法を唱え始めた。


「回復していく…?でもまだ燃えてるよぉ!」

 カノンが苦しみながら叫ぶ。


「こっちもだぁ!あっちー!!」

 ダグが悶絶しながらも叫ぶ。


「やはり、あの箱を仕留めないと無理ですね。街を燃やしたのも、この力が原因でしょう?」

 メントが冷静に分析する。


「そういうことだ、諦めろ」

 ティードは余裕を見せて告げる。


「諦めるのは貴様だ、ティード」

 突然、クライスの声が響いた。


 キィン!


 バキン!


 クライスが走りながら剣を交え、地面が割れるほどの激しい衝突が起こる。


「来たか!兄弟よ!」

 ティードが冷ややかに言った。


「もう兄弟ではない!決着をつける!!」

 クライスが怒声を上げて、戦闘に突入した。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?