「おらぁ!」
ダグが竹槍を振り回し、下っ端海賊を次々となぎ倒す。
「タフだな、薬中野郎」
ガーゴンが冷ややかな目でダグを見て、呟く。
「誉め言葉か?」
ダグが不敵に返す。
「多分違うぞ」
クリスが後ろから現れ、バードリーの血まみれの首をわし掴みにして引きずりながら歩いてきた。
その姿は返り血まみれで、まるで戦場の魔物のようだ。
「そっちこそ、殺戮を楽しんでるな?」
ダグがその姿を見て、楽しげに言った。
「分かってるみたいだな」
クリスは無表情で、顔にこびりついた血をぺろりと舐め取った。
「き、貴様…この私に…こんな仕打ちをぉ…」
バードリーが必死に叫ぶ。
「アハハ、これから仲間の前でお前の首を切ってやる」
クリスが冷たく言い放った。
「知り合いだからって、敵は敵だ」
「や、やめてぇええ!!」
バードリーが悲鳴を上げる。
「おおおお!いいぞぉ!クリス!やっちまえ!あははは!」
ダグは楽しげに叫び、周囲の混乱を楽しんでいる。
その時、すたたたた!
カノンがすごい速さで駆け寄ってきた。
「どいてどいてー!」
カノンが叫びながら、ガウスと剣を交えている。
ガウスはバードリーの惨状を見て、唖然とした表情を浮かべる。
「イカレたやつらだ…」
ガウスが呆れたように呟いた。
「おい、バードリー、何故負けた?」
ティードの声が響いた。
気づけば、ティードがいつの間にかバードリーの前に立っていた。
「よォ大将!ここで終わりだぁ!」
ダグが豪快に叫ぶ。
「いけドルフィンズ!」
バシャン!バシャン!
が、ティードは冷徹に剣を構えると、黒い光線を放った。
「失せろ、暗黒砲ガノン」
ティードの言葉と共に、黒い光線がドルフィンズに直撃し、あっけなく消滅させた。
「ふん!」
ティードは冷たく吐き捨てた。
「ぐがぁ!」
ダグが衝撃を受けて、真上に飛ばされる。
「まじかよ…」
クリスが呆れたように呟く。
ダグが落ちてくる前に、クリスは素早くソードオフショットガンを取り出し、撃った。
バァン!
ダグは吹っ飛び、民家に突っ込んだ。
「暗黒魔法、ブラックボックス」
ティードが冷徹に呟き、黒い宝箱のような物体が現れた。
「ぎゃははは!」
ブラックボックスは不敵に笑いながら、舌と牙を見せる。
「こいつらを一掃しろ、ブラックボックス」
ティードが命じると、ブラックボックスは大きな口を天に向けて開いた。
「ぎゃはは!」
ブラックボックスは笑いながら、黒い火の玉のような物体を射出した。
「カノン、気をつけろ!何をするかわからんが、やばい気配がする!」
クリスが叫んだ。
ヒューン、ヒューン、ヒューン!
次々と黒の火の玉が降り注ぐ。
「グはぁああ!船長ー!!お助け下さい!!!」
下っ端海賊たちが叫びながら、火の玉に触れた者たちはその体が燃え上がり、炎に包まれていった。
「そいつは触れると、ブラックボックスかそいつが死ぬまで燃え続ける」
ティードが冷徹に告げる。
「きゃー!!あっつ!!」
カノンが火の玉に触れて、燃え上がる。
「カノン!!!」
クリスが叫びながら、駆け寄ろうとするが、すでに遅かった。
「きさまぁ!カノンを戻せ!」
クリスが怒りに満ちた目でティードを見つめる。
「ぐはぁあああ!!皮膚がぁああ!溶ける!!」
ダグも吹っ飛ばされて、燃え続けて悶絶している。
「バードリー、引くぞ」
ガーゴンが冷静に言い、バードリーを背負って走り出す。
「くっ」
クリスが怒りを抑えながら、歯を食いしばる。
「逃げられる…もう少しで殺せたのに」
「皆さん!治癒します!ヒーラ!」
メントの声が響き、杖を構えて回復魔法を唱え始めた。
「回復していく…?でもまだ燃えてるよぉ!」
カノンが苦しみながら叫ぶ。
「こっちもだぁ!あっちー!!」
ダグが悶絶しながらも叫ぶ。
「やはり、あの箱を仕留めないと無理ですね。街を燃やしたのも、この力が原因でしょう?」
メントが冷静に分析する。
「そういうことだ、諦めろ」
ティードは余裕を見せて告げる。
「諦めるのは貴様だ、ティード」
突然、クライスの声が響いた。
キィン!
バキン!
クライスが走りながら剣を交え、地面が割れるほどの激しい衝突が起こる。
「来たか!兄弟よ!」
ティードが冷ややかに言った。
「もう兄弟ではない!決着をつける!!」
クライスが怒声を上げて、戦闘に突入した。