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第29話

「何年ぶりだ、クライス!」

「覚えていないな!」


二人は激しく剣を交え、攻防を繰り広げる。


「見せてやる、真の力を!」

ティードは剣を収め、上半身を裸にし、力を溜め始める。


「変身術、ウルフ!」

「ぐおおおおおおおおおおおおああああ!!!!」


ティードの体が瞬く間に黒い毛で覆われ、顔が獰猛な狼の顔に変わっていく。まるで獣がその場に現れたかのようだ。


「どうだ!これがウルフだ!人間の世界に伝説として語られる、幻の猛獣だ!」


「ならば、こちらも本気を見せてやる。アーマード!」

ガチャン、ガチャン!


クライスの周囲にスタイリッシュな鎧が現れ、それが彼の体に装着される。鎧がしっかりと彼の体を包み込んだ。


「この鎧はただの甲冑ではない。自分の魔力を蓄え、強力で動きやすい形へと変化させる。私の魔力は、このアルタイル王国でも最強だ。」


「ただの鎧に過ぎん。俺の敵ではない!」


「そうか、試してみるがいい。」


どぅん!!


ティードが凄まじい速さでクライスの腹にパンチを叩き込む。


「この程度か。」


その攻撃は、クライスの鎧を一切傷つけることなく弾かれた。


「その強度は本物か。面白い。」


二人は再び拳を交え、殴り合いが始まった。


「騎士道もクソもないな。」

「全くだ。」


「フン!!」


バシン!


ティードの強烈なパンチがクライスの鎧に叩き込まれる。


「ぐおおあ!」


ティードは連続してパンチを放ち、クライスは膝をついてその場に崩れ落ちた。


「終わりだ、兄弟。」


カチャ。


ティードはショットガンを手に取り、クライスを狙った。


「こっちだ、馬鹿野郎!」


悠が背後からゲートを開き、そこから地下鉄の電車がティードに向かって猛スピードで突っ込んでくる。


「キキー!!!」


運転手は必死に急ブレーキをかけたが、その間に電車はティードの背後に迫っていた。


「まじかよ。」

「カノン、掴まれ!!」


ドカーン!!!


電車がティードを直撃し、周囲が一瞬で爆風に包まれる。


「ぐああああ!!」


「うおおおああ!!」


「陛下!!」


「みなさん!無事ですか!?」


「カノンのバリアがなかったら危なかったぜ。サンキューな。」


「ううん!いいの!少しでも役に立ちたかったから、無事でよかった!」


クリスは倒れたクライスに駆け寄る。


「陛下、大丈夫ですか?」


「問題ない。それよりもティードを追うぞ。」


悠は倒れたティードの前に立ち、銃をティードの眼球に押し当てる。


「おい、雪を返せ。」


カチャ。


ティードは苦しげに顔を歪めながら言った。


「もう遅い...あの女はヴェンデッタが我が基地に移送している...」


「基地?どこだ?」


その瞬間、空からバードリーが現れ、羽爆弾を投げつけた。


「羽爆弾!!」


ヒューン!ドン!


爆発音とともに、周囲が一瞬で煙に包まれる。


「まずい!悠!逃げろ!」


「は?」


ドカーン!!!


爆発によって周囲が吹き飛ばされ、バードリーはクライスを背負って飛び立った。


「逃がすわけねぇだろ、外道が!」


バン!バンバン!!


悠は必死に発砲するが、バードリーはその速さで避け続け、悠の弾は全て外れていった。


「クソ、逃げられたか...」


「町が燃えている!鎮火しなければ!」


「了解!行け、ドルフィンズ!」


ドルフィンズたちは火の手を押さえるべく、建物に向かって突進していく。


30分後、ドルフィンズのおかげで町全体の鎮火に成功した。

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