「何年ぶりだ、クライス!」
「覚えていないな!」
二人は激しく剣を交え、攻防を繰り広げる。
「見せてやる、真の力を!」
ティードは剣を収め、上半身を裸にし、力を溜め始める。
「変身術、ウルフ!」
「ぐおおおおおおおおおおおおああああ!!!!」
ティードの体が瞬く間に黒い毛で覆われ、顔が獰猛な狼の顔に変わっていく。まるで獣がその場に現れたかのようだ。
「どうだ!これがウルフだ!人間の世界に伝説として語られる、幻の猛獣だ!」
「ならば、こちらも本気を見せてやる。アーマード!」
ガチャン、ガチャン!
クライスの周囲にスタイリッシュな鎧が現れ、それが彼の体に装着される。鎧がしっかりと彼の体を包み込んだ。
「この鎧はただの甲冑ではない。自分の魔力を蓄え、強力で動きやすい形へと変化させる。私の魔力は、このアルタイル王国でも最強だ。」
「ただの鎧に過ぎん。俺の敵ではない!」
「そうか、試してみるがいい。」
どぅん!!
ティードが凄まじい速さでクライスの腹にパンチを叩き込む。
「この程度か。」
その攻撃は、クライスの鎧を一切傷つけることなく弾かれた。
「その強度は本物か。面白い。」
二人は再び拳を交え、殴り合いが始まった。
「騎士道もクソもないな。」
「全くだ。」
「フン!!」
バシン!
ティードの強烈なパンチがクライスの鎧に叩き込まれる。
「ぐおおあ!」
ティードは連続してパンチを放ち、クライスは膝をついてその場に崩れ落ちた。
「終わりだ、兄弟。」
カチャ。
ティードはショットガンを手に取り、クライスを狙った。
「こっちだ、馬鹿野郎!」
悠が背後からゲートを開き、そこから地下鉄の電車がティードに向かって猛スピードで突っ込んでくる。
「キキー!!!」
運転手は必死に急ブレーキをかけたが、その間に電車はティードの背後に迫っていた。
「まじかよ。」
「カノン、掴まれ!!」
ドカーン!!!
電車がティードを直撃し、周囲が一瞬で爆風に包まれる。
「ぐああああ!!」
「うおおおああ!!」
「陛下!!」
「みなさん!無事ですか!?」
「カノンのバリアがなかったら危なかったぜ。サンキューな。」
「ううん!いいの!少しでも役に立ちたかったから、無事でよかった!」
クリスは倒れたクライスに駆け寄る。
「陛下、大丈夫ですか?」
「問題ない。それよりもティードを追うぞ。」
悠は倒れたティードの前に立ち、銃をティードの眼球に押し当てる。
「おい、雪を返せ。」
カチャ。
ティードは苦しげに顔を歪めながら言った。
「もう遅い...あの女はヴェンデッタが我が基地に移送している...」
「基地?どこだ?」
その瞬間、空からバードリーが現れ、羽爆弾を投げつけた。
「羽爆弾!!」
ヒューン!ドン!
爆発音とともに、周囲が一瞬で煙に包まれる。
「まずい!悠!逃げろ!」
「は?」
ドカーン!!!
爆発によって周囲が吹き飛ばされ、バードリーはクライスを背負って飛び立った。
「逃がすわけねぇだろ、外道が!」
バン!バンバン!!
悠は必死に発砲するが、バードリーはその速さで避け続け、悠の弾は全て外れていった。
「クソ、逃げられたか...」
「町が燃えている!鎮火しなければ!」
「了解!行け、ドルフィンズ!」
ドルフィンズたちは火の手を押さえるべく、建物に向かって突進していく。
30分後、ドルフィンズのおかげで町全体の鎮火に成功した。