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第59話

岡山市街のビル群。

青い炎がサダベルの体にまとわりつき、メラメラと輝きながら燃え盛っている。

「この炎の鎧は何もかもを溶かす、たとえ国であろうともな。」

サダベルは冷徹な目でカイラを見据える。


耳に手を添えながらカイラが一言。

「炎がなんだって?」


「これが私の全力だ。」

サダベルはその言葉とともに、カイラに向かって突進した。

カイラをがっちりと捕まえ、そのまま突き抜けるように奥のビルへと進む。

壁が崩れ落ち、次々にビルが崩壊していく。

周囲の人々は悲鳴を上げ、四方八方に逃げ惑う。


「ほう。」

カイラは冷淡に呟きながら、その破壊の様子を見守る。


ビルが次々と崩れ落ちる中、岡山市は次第に壊れていった。

「それだけか? あんたの力は?」

カイラはサダベルの腹を蹴り上げると、サダベルは直角に飛ばされ、空へと舞い上がっていった。


「ぐぅ!」

サダベルは空、高速で大気圏を抜け、宇宙へと吹っ飛んでいく。


カイラは小さく笑い、サダベルを追いかけて宇宙へと飛んでいく。

「どうやらじじい、攻撃力に全振りしすぎたようだな。」

サダベルの魔法は驚異的だが、その防御には隙があったようだ。


「ふん!」

大気圏でようやく身体を止めたサダベル。

その直後、カイラが追いつく。


「じじい、終いだな。」

カイラの隣に、巨大な水神リヴァイアサンが現れ、大きな口を開けてサダベルに迫っていく。


「食らえ、リヴァイアサン! 奥義・ブレアスピア!」

サダベルの目から、光線が放たれ、リヴァイアサンに向かって突き進む。


「ちっ。」

カイラは舌打ちし、リヴァイアサンを転移させる。

その間にも、レーザー光線がカイラの横を通り過ぎる。

頬が焼け、血が流れ落ちる。


そのレーザーは岡山市を貫き、街に到達するや否や、大爆発が巻き起こる。

岡山の街並みは、無惨に崩れ去った。


「そうだよなぁ、せっかく手に入った水神を殺すわけにはいかない。」

サダベルは冷ややかな声を出す。

「水神なしでもお前を殺せるさ。」

カイラはそのまま告げる。


「ならば今度は――"全魔力"だ。」

サダベルの目から、再び青いレーザーが放たれる。


「おっとっとぉ!」

その瞬間、カイラはサダベルの正面に転移し、一撃でサダベルを打ち飛ばす。

サダベルの顔が側方へと傾き、その結果レーザーの発射角度が変わり、レーザーはアメリカへと向かっていった。


その光線は、発射からわずか0.001秒でニューヨーク市街地に到達。

その瞬間、アメリカ全域の地盤が歪み、爆発が起きる。

あらゆる建物が崩壊し、全土が荒れ果てた。


「じっとしろぉ!」

カイラはサダベルを羽交い絞めにし、背後から拘束する。


「離せ!!」

サダベルは必死に抵抗するが、カイラはその頭部を強く押さえ込んだ。


「今まで学園長の勤め、ご苦労だったな。退勤しろ。」

カイラは無情に言い放つ。


「やめろおおおおおお!!」

サダベルの必死な叫びも、無駄に終わる。


ゴギッ――!

サダベルの首が音を立てて折れ、完全に動かなくなった。


「やっとくたばったな。」

カイラはサダベルを片手で抱え、池袋へと向かう。


池袋の、もはや更地と化した地面。

「うそだろ、これが池袋なのか?」

悠は沖縄から池袋へと繋がった現状を見て、驚愕の声を上げる。


「やったのか! カイラ!」

上空から、学園長を抱えたカイラが降りてきた。


「まだです。アレンがどこにいるのか、探さないと。」

カイラは決して安堵しない。


悠はそのことをどう伝えるべきか、悩んでいた。

「カイラ...残念だけど、お前の友達は殺されたよ。」

彼は静かに告げる。


カイラはその言葉を聞いて、絶望の色が顔に広がる。

彼はうつむき、しばらく言葉を失った。


「アレン...!」

力強く下唇を噛みしめ、静寂の中で一分間、動かずに立ち尽くした。

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