岡山市街のビル群。
青い炎がサダベルの体にまとわりつき、メラメラと輝きながら燃え盛っている。
「この炎の鎧は何もかもを溶かす、たとえ国であろうともな。」
サダベルは冷徹な目でカイラを見据える。
耳に手を添えながらカイラが一言。
「炎がなんだって?」
「これが私の全力だ。」
サダベルはその言葉とともに、カイラに向かって突進した。
カイラをがっちりと捕まえ、そのまま突き抜けるように奥のビルへと進む。
壁が崩れ落ち、次々にビルが崩壊していく。
周囲の人々は悲鳴を上げ、四方八方に逃げ惑う。
「ほう。」
カイラは冷淡に呟きながら、その破壊の様子を見守る。
ビルが次々と崩れ落ちる中、岡山市は次第に壊れていった。
「それだけか? あんたの力は?」
カイラはサダベルの腹を蹴り上げると、サダベルは直角に飛ばされ、空へと舞い上がっていった。
「ぐぅ!」
サダベルは空、高速で大気圏を抜け、宇宙へと吹っ飛んでいく。
カイラは小さく笑い、サダベルを追いかけて宇宙へと飛んでいく。
「どうやらじじい、攻撃力に全振りしすぎたようだな。」
サダベルの魔法は驚異的だが、その防御には隙があったようだ。
「ふん!」
大気圏でようやく身体を止めたサダベル。
その直後、カイラが追いつく。
「じじい、終いだな。」
カイラの隣に、巨大な水神リヴァイアサンが現れ、大きな口を開けてサダベルに迫っていく。
「食らえ、リヴァイアサン! 奥義・ブレアスピア!」
サダベルの目から、光線が放たれ、リヴァイアサンに向かって突き進む。
「ちっ。」
カイラは舌打ちし、リヴァイアサンを転移させる。
その間にも、レーザー光線がカイラの横を通り過ぎる。
頬が焼け、血が流れ落ちる。
そのレーザーは岡山市を貫き、街に到達するや否や、大爆発が巻き起こる。
岡山の街並みは、無惨に崩れ去った。
「そうだよなぁ、せっかく手に入った水神を殺すわけにはいかない。」
サダベルは冷ややかな声を出す。
「水神なしでもお前を殺せるさ。」
カイラはそのまま告げる。
「ならば今度は――"全魔力"だ。」
サダベルの目から、再び青いレーザーが放たれる。
「おっとっとぉ!」
その瞬間、カイラはサダベルの正面に転移し、一撃でサダベルを打ち飛ばす。
サダベルの顔が側方へと傾き、その結果レーザーの発射角度が変わり、レーザーはアメリカへと向かっていった。
その光線は、発射からわずか0.001秒でニューヨーク市街地に到達。
その瞬間、アメリカ全域の地盤が歪み、爆発が起きる。
あらゆる建物が崩壊し、全土が荒れ果てた。
「じっとしろぉ!」
カイラはサダベルを羽交い絞めにし、背後から拘束する。
「離せ!!」
サダベルは必死に抵抗するが、カイラはその頭部を強く押さえ込んだ。
「今まで学園長の勤め、ご苦労だったな。退勤しろ。」
カイラは無情に言い放つ。
「やめろおおおおおお!!」
サダベルの必死な叫びも、無駄に終わる。
ゴギッ――!
サダベルの首が音を立てて折れ、完全に動かなくなった。
「やっとくたばったな。」
カイラはサダベルを片手で抱え、池袋へと向かう。
池袋の、もはや更地と化した地面。
「うそだろ、これが池袋なのか?」
悠は沖縄から池袋へと繋がった現状を見て、驚愕の声を上げる。
「やったのか! カイラ!」
上空から、学園長を抱えたカイラが降りてきた。
「まだです。アレンがどこにいるのか、探さないと。」
カイラは決して安堵しない。
悠はそのことをどう伝えるべきか、悩んでいた。
「カイラ...残念だけど、お前の友達は殺されたよ。」
彼は静かに告げる。
カイラはその言葉を聞いて、絶望の色が顔に広がる。
彼はうつむき、しばらく言葉を失った。
「アレン...!」
力強く下唇を噛みしめ、静寂の中で一分間、動かずに立ち尽くした。