静止したクリスの遺体を見つめるクライスの怒りは、もはや抑えきれないものとなった。
「クリス...!よくもぉ!わが友を!!」
クライスは剣を天に掲げ、激情に満ちた声を上げた。
「来い!光神ダイス!」
彼が召喚の呪文を唱えようとしたその瞬間、突然、ヴェンデッタの声が響いた。
「呪法べベラ!」
転移したヴェンデッタが、クライスに石化の呪いをかけた。
「クソ!」
クライスは咄嗟に右腕を振るい、その石化の進行を切り落とした。腕が床に転がる。
「ふーん、石化が始まった片腕を切り落としたか。やるじゃないか。」
ヴェンデッタの言葉は冷徹で、挑発的だった。
「おい!貴様は何者だ!いつメントに成り代わった!」
クライスが叫んだ。
メント?と呼ばれる男は、冷笑を浮かべながら答えた。
「言ったろう?ずっと前だ。」
その瞬間、ヴェンデッタが再び呪文を口にした。
「最奥呪法スピア!」
彼が指を向けると、カノンに向かって呪いのレーザーが飛び出した。
「カノン!早く逃げろ!」
カイラの声が響く。
カイラはすぐさま手を差し出し、カノンの周囲に結界魔法を展開してレーザーを防いだ。
「エスケープ!」
カイラはカノンの手を握り、瞬時に王城外へと転移した。
「アーマード!」
クライスは叫びながら、自身の身体に鎧を装着させる。
「ほほう、それが強化形態ってわけね。」
ヴェンデッタの冷徹な声が響く。「じゃあ、これを防ぎきれるかしら?最奥呪法ストーム!」
クライスの目が見開かれた。
全方位から呪いのレーザーが彼を包囲する。
「エスケープ!」
クライスはすぐさまレーザーの外側へと転移し、攻撃を避けた。
「ヴェンデッタ!覚悟ぉ!」
クライスは再び天を仰ぎ、剣を高く掲げた。
「光神ダイス!」
だが、その瞬間、メントの冷たい声が響いた。
「じゃあな、王様。」
気がつけば、メントはクリスの遺体を担いでいた。
「何だと...」
クライスは唖然とした表情で言葉を失った。
「いまよ!全員転移魔法で逃げて!」
ヴェンデッタの命令で、一瞬の隙を突かれ、敵たちはすぐさま転移魔法を使って逃げてしまう。
「くそ!」
クライスは怒りを露わにしたが、すでに遅かった。
次の瞬間、ヴェンデッタたちは王宮から姿を消し、クリスの遺体もろともその場から消え去った。