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第69話

目が覚めると、強風の音が耳を打つ。風の音が強すぎて、周囲の状況がなかなか掴めない。目を開けて、周りを見渡すと、どうやら俺は南収容所の牢屋にいるらしい。


目の前にいるのはザックだが、彼もまだ暴れている。隣の牢屋からは、ザックの怒鳴り声が響いてくる。


「出せ!おい!」


その声が響く中、どこか遠くで兵士たちの笑い声が聞こえてきた。しかしその笑い声もすぐに静まり、サイレンが鳴り響く。


ビー!ビー!という音が続き、兵士たちは慌てて警備に戻っていく。


俺は耳を澄ませて、外の音に集中した。爆発音や銃声が絶え間なく鳴り響き、どうやら何者かと兵士たちが戦闘を繰り広げているようだ。


突然、音が止んだ。しばらく静寂が続き、そして何人かの影がこちらに近づいてくる。血まみれの捕虜たちが、俺たちの目の前に現れた。


「よぉ、こんちわ。」


その声に驚いて振り返ると、現れたのは一人の男だった。彼は穏やかな笑みを浮かべていて、すぐに俺を見て言った。


「おい、外してやれよ。」


隣の捕虜がチェーンカッターで俺の鎖を外してくれる。


「いやぁ、あんたの噂は聞いてる。世界を繋げる能力者ね。」


その言葉に俺は少し驚いた。世界を繋げる能力者と言われることがあったが、こんな場所で聞くとは思ってもみなかった。


「そんな能力、俺が欲しいくらいだよ。」


男は続けた。「申し遅れた、俺らはジョンイル、中国から来た。イザって者だ。」


俺は警戒を強めながら質問した。「何が目的だ?」


イザは目を細め、軽く笑った。「この世界を転覆させるのさ。人間の手でな。」


その瞬間、バン!と銃声が響き、俺は一瞬で状況を察した。兵士たちがこちらに向かって侵攻してくる。


「全員そこを動くな!投降すれば命は保証する!」


イザは少し肩をすくめた。「話はあとだな、じゃあ共闘といこう。いいな?探偵さん。」


突然、近くで一人の捕虜が叫んで逃げ出した。「うわああああ!もういやだあああ!家に帰してくれええええ!」


「おい!逃げちゃダメでしょ!」と、二ムが叫びながらその捕虜の背中を撃ち抜いた。


一気に状況が混乱し、イザがその場を制するように言葉を放つ。「お前ら、武器を持てや。戦争だァ!」


その一言で、戦闘が始まった。

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