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第70話

イザの掛け声とともに、仲間たちが一斉に銃を発射した。エルフの兵士たちは次々と倒れていき、銃声が響き渡る。銃の圧政が支配する戦場の中、彼らの死が、まるで無機質なように感じられた。


「きもっちいいなぁあああ!」と、イザが叫びながら兵士の剣を拾い上げ、その刃を兵士たちに向かって振り下ろす。ザクッ、ザクッと、赤い鎧を貫いて血しぶきが飛び散った。


「オイ!ハンマーよこせ!!」と、イザが叫んだ。捕虜の一人が大きな鉄槌を渡すと、イザはそれを受け取り、倒れた兵士に向かって振りかざす。


「や、やめろ...頼む...」兵士は震えながら命乞いをするが、イザは冷徹に言い放った。


「聞こえねぇよカスがぁ!」


ズドン、ズドン! 何度も、何度も、兵士の頭部を潰す音が響き渡る。激しくて、容赦のないその音が、戦場の恐ろしさを物語っていた。


「なんて奴だよ…」俺は唖然としてその光景を見ていた。こんな残虐な行動、これは本当にマフィアの仕業なのか? 俺の胸には、言葉にできないような嫌悪感が湧き上がった。


その時、突如として空間がひとひらと変わり、転移してきた人物がいた。顔を見た瞬間、すぐにそれが誰だかわかった。


「火炎魔法ブレア!」


メント?が口にすると、彼の周囲に炎が膨れ上がり、まるで魔法の波動のように捕虜たちの元に炎が燃え広がった。


「ぎゃああああああああああああああ!」捕虜たちの悲鳴が響く。炎が彼らを包み込み、その恐怖が一気に広がった。


「クソ...!裏切った医者か!」俺は声を荒げた。メント?、あの時助けてくれた医者が、今度は明確に敵として目の前に立ちはだかっている。


メント?は冷静に、まるで以前のような余裕のある態度で言った。「久しぶりだな、探偵。まだ連れがいるんだ。もう少しで来るぞ。」


その言葉が終わるか終わらないかのうちに、空から轟音が響き、天から何かが降ってきた。


「は?」俺は思わず声を漏らした。


空から降ってきたのは、巨大な肉体を持つ怪物だった。全身は鎧のように筋肉に覆われ、その顔面にはニヤリとした笑顔が浮かんでいる。どこか不気味なその姿に、俺の体が一瞬硬直した。


メント?はその怪物を指差しながら言った。「紹介しよう。かつて勇者ルーシェたちが撃破し損ねた魔王グラウンドだ。」


魔王の唸り声が響く。「グルルルル...」


その巨大な魔王は、猛獣のように唸り声を上げながら、俺たちに迫ってきた。

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