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第71話

魔王は唸り声を上げながら、俺たちに迫ってきた。あの姿、どこかグレイ宇宙人のような気味悪さを感じる。


イザは苛立ちを隠せない様子で周りの仲間に指示を飛ばしていた。「どしたよ、何やってんだ撃てよお前ら!」


その声に焦りが滲んでいるように感じた。まるで状況が自分の想像を超えているかのようだ。


「あれが魔王なのか?」思わず声を漏らす。魔王というには、あまりにも異質な姿だった。


メント?が小さく呟いた。「さぁ頼んだぞ…」とだけ言い残し、どこかに転移していった。


その後、何もかもが一気に破壊的な展開へと向かった。


部下の一人がバールで魔王に切りかかるが、あっさりと折れてしまい、次の瞬間、魔王はその部下の顔面をバコンと殴りつけた。


「へ?」部下の目が驚愕に見開かれた瞬間、そのまま血しぶきを上げて命を落とした。


「グゲゲギャギョ」魔王は手を合わせ、呪文を唱え始める。その姿がさらに異様で、俺は何かを感じ取った。


「何だあいつは...」兵士たちがざわつき、何かに気づいたのか低い声で話し始めた。


「奴の存在は平兵士にも伝わってねぇのか...」俺はその時、魔王が唱えていた呪文を思い出しながら、息を呑んだ。


その瞬間、魔王の周囲が青い炎で燃え上がり、周囲の空気が一変した。「青い炎!?あの学園長が使ってたやつか!」頭の中で急速に情報がつながる。


「クソ、リンク!」リンクを使って、俺はなんとか元の世界に避難することに成功した。しかし、収容所ではその瞬間、豪炎が舞い上がり、マフィアも兵士も構わず焼き尽くしていた。


「ぎゃああああああ!」兵士たちの悲鳴が上がり、焼け焦げた肉の匂いが辺りを包んだ。


「熱い!熱い!やめろおお!」部下たちの叫びが響く中、かつてのボスでさえも、青い炎に焼かれ消えていった。


「いやあああああああ!!!」声が上がり、パクがその炎に巻き込まれていく。


イザはその光景に目を見開いて混乱していた。「あぁクソが」


「とりあえず走って離れるぞ!」ムニョが叫び、三人はできるだけ炎から距離を取って必死に走った。


一定の距離を取ったところで、イザはウージーを取り出し、魔王に銃口を向けた。「全員死ねぇ!」ズドドドドドドドドド!


全弾を魔王に撃ち込んだが、魔王はびくともせず、まるで傷ひとつ負わなかった。


「クソ、今ので全部弾使い切った」イザが悔しそうに呟く。その顔には絶望が浮かんでいた。


だが、魔王はそれに気づくと、ドシドシと足音を響かせながらこちらに迫ってきた。


「オイ...逃げなきゃまずい...」ムニョが焦った声を上げたが、その言葉が終わる前に、魔王の拳がムニョの顔面を貫通した。


「グばはぁ!!!」ムニョの体はそのまま地面に崩れ落ち、大量の血が周りに広がった。


「こっちくんなぁ!」二ムがハンドガンで撃ちながら叫ぶが、魔王はその手を無視して、顔を握り潰した。


「兄貴...二ム...」イザはその光景をただ見つめ、沈黙のまま呟いた。


「頼むよ、助けてくれよ」イザが魔王に懇願するが、魔王は気味の悪い笑い声を上げた。「えへえ?」


その時、俺は一気に決断を下す。「こっちだクソ野郎!」魔王がこちらを向いた瞬間、俺は猟銃を構え、バン!バン!と撃ったが、魔王にはまるで効いていない。


「一旦引く!こっちだ走れ!」俺はイザの肩を掴んで、全速力で走り出した。


魔王はその後ろを、怒りに満ちた表情で追いかけてくる。「ぐげげ...」その唸り声が耳をつんざくように響いた。


追いつかれる...その瞬間、空から一筋の光が降ってきた。


ヒューン!ズドン!と、魔王の前に降り立ったのは、カイラだった。


「貴様が...母を殺した...!」カイラが魔王を睨みつけ、声を震わせながら言った。


魔王はその言葉を聞いて、逆に不敵に笑いながら応じた。その瞬間、最強の戦力同士のリベンジマッチが始まろうとしていた。

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