終戦から二時間後、雪の無事が確認された。彼女はロシアのカリ島で、現地警察に保護されていた。異世界での長い戦いを経て、ようやく平穏が訪れた。しかし、これから二つの世界は、元の生活に戻るための道を歩まなければならなかった。その道は決して平坦ではないことが、誰の目にも明らかだった。
「これからも貢献していこう。世界を立て直すために。」
クライスたちは異世界へ帰還し、深い決意を胸にこう宣言した。
「全ての人間を、あちらへ引き渡す。」
その言葉を皮切りに、二週間後。異世界で誘拐されていたすべての人間が、家族の元に帰還した。喜びと涙が交錯する中、無事に帰還した者たちはその身に抱えきれないほどの感謝と安堵を感じていた。
しかし、その一方で、帰還できなかった者たちがいた。死んでいった人間たちも、多数存在する。
だが、その死が無駄でなかったことを示すかのように、エルフたちは人間の尊厳を認め、共に歩む決意を固めた。それは、この終わりなき戦争における、平和への第一歩だった。
クライスたちは、胸の中で静かにその事実を噛みしめた。この小さな一歩が、未来に向かって大きな意味を持つと信じて。