現代 アルタイル王国 スモーク山山頂墓地
現代では、メントの遺体を墓に還す作業が行われていた。クライスたち、そしてデジャヴはその作業に徹していた。
「そぉら!」
ギャバットはシャベルを力強く振るい、土を豪快に掘り起こす。
「これで、やっと終わったんだね。」
カイラが静かに言うと、クライスが頷く。
「あぁ、やっとな。」
クライスは少し疲れた様子で肩をすくめる。
「早く手伝ってくださいよぉ!」
エリーはサボり気味のクライスたちに声をかけ、急かす。
「ほぇぇ、つっかれたぁ…」
ハンドルはシャベルを地面に置き、背伸びをしながら一息ついたその瞬間。
バキ!
突然、メントが入っていた棺桶から手が突き破ってきた。
クライスは瞬時に剣を抜き、構えた。
バキバキ!
棺桶の木材が破れ、メントがそこから無理矢理這い出してきた。
「私が生きていることに驚いてるようだな。」
メントが低い声で笑う。
「な、なんで…?」
ハンドルは呆然とし、目を見開いてメントを見つめる。
「私の体得していた禁忌魔法には、蘇生術がある。」
メントが笑みを浮かべながら続ける。「死ぬ直前に全ての魔力をそこに込めることによって、数日後に見事に蘇る禁忌魔法だ。」
「ば、馬鹿な…!」
クライスが声を上げ、剣を構え直す。
「ふははぁ!そしてこれで復讐の戦争をはじめることができる…!!」
メントの目に狂気が宿る。
「おれが貴様を葬る…!」
クライスの声は冷徹で、怒りをにじませながら言った。
「雷魔法!ライデン!」
メントが杖を振るい、雷を放つ。
「させるかぁ!ハンドル!」
ギャバットが叫び、鉄槌を振るうも、メントの姿は無傷のままだ。
「化け物め…!」
ギャバットは歯を食いしばって呻く。
「水魔法!ショット!」
ハンドルはクロスボウガンを構え、矢の先に水魔法を込めて放つ。しかし、矢は反射し、跳ね返ってしまう。
ドカン!
メントの雷が、エリーに直撃し、激しく炸裂する。
「強化魔法!」
エリーは体術を強化し、雷を素早く回避する。
「はぁ!」
クライスが一気に駆け、杖と剣の攻防戦が繰り広げられた。
「お供する!」
カイラも剣を抜き、クライスと共にメントの杖に斬りかかる。
「氷結魔法 エイジ!」
メントが呪文を唱えると、その瞬間、クライスたちは一斉に氷結魔法で凍りついてしまった。
「貴様らでは私には勝てんよ、このまま氷ごと粉砕してやる!」
メントは得意げに言い放ち、爆発魔法を放とうとしたその瞬間。
「火炎魔法 ボルケーノ!」
空からロイスが現れ、火炎魔法で氷を溶かす。カイラたちは自由を取り戻す。
「ほう、火炎魔法で溶かすか。」
メントはその状況に驚きつつ、空高く舞い上がった。
「ロイス!感謝する!」
クライスは息を切らしながら、ロイスに感謝の言葉を送る。
「もういい、このまま終わりにしてやる。」
メントは飛行魔法で空へと飛び立ち、杖をクライスたちに向けて構える。
「最奥魔法 バッド!」
メントは杖に全魔力を込め、その魔法を放とうとしていた。
「彼を止めないと!彼の魔力量だと、王都、いや…この国が滅びる!」
ロイスが焦りながら叫ぶ。
「魔力を溜めている状態で岩石魔法で体を覆っている!全員の最奥魔法で奴の奥義を食い止める!これしかない!」
クライスが冷静に指示を出す。
「総員!武器を奴に向けよ!」
クライスが命令を下すと、全員が一斉に武器を構える。
「最奥魔法!ホワイトショット!」
全員の武器が白く光り始め、最奥魔法が放たれる。
「これで…終わりだぁ!!!!」
メントの杖から黒いビームが放たれる。対するクライスたちの光線がぶつかり、その衝撃で空の雲が一気に消え去った。
「うおおおおお!!いけえええ!!!」
クライスが叫び、ビームがメントの黒いビームを突き破る。
「馬鹿なぁ!!!!ぐわぁあああああ!!!!!!」
メントは最後の叫びを上げ、ビームにさらされると、身体ごと消滅していった。
「やっと…終わった…のか…!」
クライスが息を整え、呟く。
「ええ、そのようですね…!」
カイラが静かに答え、クライスの肩に手を置いた。
クライスたちは安堵の表情を浮かべ、肩を抱き合って立ち尽くしていた。