この街は、“終わりゆく街” だと感じる。
外から見てもすぐに分かるほど、家屋や集合住宅には空室が目立っている。
街を歩いていてすれ違うのは、ほとんどが高齢者だ。
近所の小学校はそろそろ廃校になるらしい。
休日の昼間、シャッター街がこれほどまでに静かだとは知らなかった。
行政がどう動いているのか、正確なところは分からない。
けれど、肌で感じる。この街は、確かに “終わり” に近づいている。
それでいい。いや、それがいい。
だから私はこの街へ移住を決意した。
もう、何も始まらなくて良い。
変わる必要なんて、どこにもない。
ただ、緩やかにそこに在るだけでいい。
さあ、存分に楽しんでいこうじゃないか。
終わりゆくことが決まっている——その寂しさを。
終わりゆくことが決まっている——その静けさを。
終わりゆくことが決まっている——その、仄かな虚しさを。
【終わりゆく街】