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朱雀24

煙突から失礼しまーすと入り込み、吊されている靴下を探す。


が、お子様はスヤスヤと眠っているのに、枕元に靴下を吊していない。

最近そういう子どもも増えていると聞くが、ここは自宅前にあれだけ立派なツリーを構えるご家庭なのだ。靴下を吊していてもおかしくはない。


あれ……もしかして……。

嫌な予感がし、カレンダーを確認する。


――やってしまった! 一日早いじゃないか!

慌てすぎたか!あー、しまったなぁ。本当に反省しないなぁ、俺は……。


まぁしゃあない、明日また来よう。そう思って煙突から帰ろうとしたその時――。


ズサァッという音とともに、別の担当が煙突から落ちてきた。

いたたた…と言いながらそいつは立ち上がり、辺りを見渡す。


部屋の中で目が合う二人。


どうも、と互いに挨拶し、今日はまだその日じゃないですよ、と教えてあげた。


先に煙突から帰らせてもらう。


トナカイに引いてもらうソリに乗りながら考える。

彼も慌てていたのだろう、まさか一日早く来てしまう人が二人もいるとは。


でも、基本、我々は一つの家庭に一人担当が着く規則なので、担当が重なることは無いはずなのだ。

こちらは担当区画のリストを事前に確認しているので、彼が間違っていることになる。


世の中、あわてんぼうにも上には上がいるもんだ。


煙突から落ちてきたこの担当、実は一日早く到着してしまったのではなく、364日遅れて到着してしまった、とんでもないのんびり屋だと知るのは、もう少し後の話。


【あわてんぼう】

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