魔女と言えど、プロとしてやっている。だからこそ、お客様から対価を頂き、魔術を提供するものだ。
今日の依頼は、惚れ薬の作成。客は男性サラリーマン。意外と珍しくない。こういうものにすがりたくなるのは、男女共通の想いなのだろう。
とりかかる。
マンドラゴラ一欠片、バジリスクの血一滴、竜の鱗のすりおろし、白スイレンの花びら一枚、そしてパナマはエスメラルダ農園産、職人の手作りとこだわりが光るコーヒー豆「ゲイシャスペシャル」。
これをおよそ、1:1:1:1:40000くらいの割合で混ぜ合わせ焙煎。
ミディアムとハイの中間位のローストが一番深みが出ると判断。
抽出にはゴールドフィルターを使い、約85度の軟水を用いたハンドドリップでキメる。
この手法だと、豆の脂分もしっかり抽出でき、香りも深い。
魔女だろうと、サラリーマンだろうと、違いの分かる大人になるための必携アイテム――惚れ薬。1杯850円。
【バリスタ】