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第2話

 明治の終わりからある学校です。


名称は何度か変えているようです。


大学だけだったのが、高校、幼稚園、小学校、中学校と付属校が増えていったようですが、


私が通う高校の校舎は、昭和、平成と増改築されて、一見は新しい校舎に見えます。


大正時代からの図書館と講堂は古い建物のまま使われていますが、


図書館も講堂も、木材が合板などではなく、継ぎ接ぎ無しで贅沢に使われた建物と素人の私にも分かる素晴らしい建造物です。


国の指定までにはなっていないようですが、


都の指定文化歴史建造物になっているようで、


それらを写真に撮りたいと外部の人もよく来ていました。


高校の校舎の敷地には、高校と幼稚園だけが在り、他は違う土地にあります。



高校の進学先は、


付属上がりの人達は、特に悪い成績でない人は殆んどが、ここの大学に進学し、


私のように高校から入学してきた者は、国立大に進むようです。


一学期も終わりに近づくと、だいたい学校のシステムも分かってきて、


この学校が進学校といわれている所以は、


私のような、高校から入学してきた者、一種のよそ者が、全国模試の成績や進学する大学などでも、進学校として上位に位置することを牽引しているのだと知りました。


私あたりは、そうそうガツガツ勉強をしていませんでしたが、


クミコなどは、ガリ勉さんとは違いますが、勉強する習慣が身についているのでしょう、


非常に成績の上下を意識していて、私などは、ひどく緩いので申し訳なく思うほどでした。



校舎と古い建物の講堂と図書館は、



長い廊下で繋がっていました。


外部の人達は、写真を撮りに来ても外観を撮るだけで、中に入ることは出来ない造りになっていたようです。



廊下の床も木製で、歩くとギシギシと奇妙な音がしました。


長い廊下は明かりも暗く、


つまるところ、


やっと一人の人間が歩けるような狭い廊下で、屋根付きですから雨でも風でも関係なく講堂や図書館に往き来は出来ますが、


狭さと暗さ、また床のギシギシ音に、誰もが無言で列になって歩いていました。



エイミが歩くとギシギシ音がひどく大きくなり、そろりそろりと歩くのですが、余計に音が大きくなり響きました。


そして、今にも廊下の床板が抜けるか、割れるのではと思いもしました。


160センチで65キロ、そんなに太っているのとは違うのですが、そのギシギシ音がエイミには、デブの証拠に感じられたのでしょう。


必死にダイエットをすればするほどに、リバウンドが激しく、エイミは少しずつ太めの度合いが増していくようでした。



 4月に入学して、5月、6月と日が過ぎ、エイミは英語が非常に得意でしたが、


成績は徐々に落ちてきていました。


英語は揺るぎなく学年トッブだったのが、3番になり5番になり。


女の子にとって、太っていく、ダイエットをしているのに太っていくことは、悩みなのか、


だんだんに私達3人でいても口数も少なくなっていきました。


そんなある日、月曜日の全校朝礼のために講堂に向かって廊下を列になって歩いている時、私の後ろの方で騒ぎがありました。


「うるさいぞ、、デブっていやだな、」


「なにしにこの学校に来た?


学校の床を壊しに来たのか!」


「デブって、だからウザイ!」


「あんた達!!  


どういう意味?!


エイミがウザイって言ってるわけ?!」


「うるせー、、ガリ勉のっぽ女!!」


「ああー!! 


あんた達、自分が馬鹿だから、


私達みたいに成績がいいのはシャクにさわるんだ?!」


「おい!!  ノッポ!  なんて言った!?」



ああー、あれは、エイミとクミコが絡んでいる、とうとう始まった、、、


私は恐れていたことが始まった、


始まってしまったと身震いしました。


付属上がりのグループと、よそ者で高校から進学してきたグループの軋轢は毎年あるとは、従兄弟から聞いていたことでした。




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