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第4話

 数学は好きです。答えがはっきりしているので。


答えはひとつです。


あれも良い、これも半分は良いなんて曖昧ではありませんから。


数学好きは血筋のようです。


とくに算数の時代から悩んだことも、難しいと感じたこともありませんでした。


国語のほうが悩ましい教科でした。


中学生の時に、夏休みの宿題に読書感想文があり、


私は太宰治の「人間失格」を読み、感想文を書いたのですが、


国語担当の女性の先生が職員室に私を呼びつけ、ああでもない、こうでもないと講釈を続けたのです。


その新任の先生は太宰治の激しい熱烈なるファンのようで、私の見解に真っ向から反論してくるのです。


争いなど大嫌いですから、


先生の机のところで、立ったまま、黙って、はい、はいとだけ相づちを打っていたのですが。



放課後のことですから、職員室にいる先生もまばらです。


私は楽天的というか、見解が違う人に逆らってみてもどうにもならない、怒りの嵐が去るのを待とうとして、


黙って立ったまま、先生の言葉を聞いていたのですが。


そこへ、教頭先生が来まして、頭の半分は白い毛で覆われた人ですが、


声がひどく大きいのです。


「サクマ先生、、私とは違う考えですね、、


読書をして、感想文を書く、


一人一人違って当然じゃないですか?」


国語の女先生は、しまった!!


という感じでピタッと、口を閉じました。


ところが、そこへ、私の担任の先生や数学担当の先生、校長先生までもが集まってきて、


とにかく遅いので私には帰るようにと言い、


私は頭を下げて帰宅したのですが。


その日を境に、国語の女先生は消えました。


そして、学校内には、噂が流れたそうです。


あのリナちゃんを不当に叱ったりしたらバチがあたる・・・・・と。


私はそれ以来、国語は嫌いな教科になりました。


ほぼ、自分の意見も言わなくなりました。



母方には、数学者もいて、


高校からは親元を離れて母方の祖父母のところから通学するようになったのも、


数学者の母の兄が祖父母と同居しているからです。


きっと風変わりな私と、話が合うだろうと両親も祖父母も考えたようですが、


本当のところは、あまり、話は伯父さんとは合いません。


かなり風変わりな人で、苦手な人です。


でも、私の数学好きは、この叔父さんの血筋だからということになっています。


そして、ジロウさんはこの風変わりな伯父さんの子供です。



あ、脱線しました。

ジロウさんが教えてくれた秘密です。


ジロウさんも3人の仲良し友達がいたそうで、高校2年の夏休みの少し前に発見したそうです。


ジロウさんのひと夏の思い出です。


そして、それは秘密なんだそうです。


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