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第5話

 ジロウさん達3人組は、恋をしたのです。


音楽の先生に。


大学を卒業して初めて教師となったのが私達の高校だったのですね。

その音楽の先生。


写真をみせてもらうと、


あらら、教師とは見えない、


うーん、そうですね、夜のお仕事をされているような妖艶な雰囲気の女性でした。


今、そのセイコ先生はいませんので、


辞めちゃったか、系列の他の学校に移ったのかもしれませんが、


現在いないことは事実です。


ジロウさんはオマセさんですねと言いましたら、


「特に僕がませてるわけじゃないよ、、


高校2年の健全な男子だろ、、


ちょっと素敵な年上の女性に興味を持つのは、自然だよ。」


ふーん、そんなものなのかと、私は女子ですから、理解不能でしたが。


その先生は講堂の隅においてあるグランドピアノを放課後によく弾いていたそうです。


ジロウさん達3人は、3人の内の誰が先生の心を射止めるかを競争しようということになったそうです。


そして、発見した。


本当なの?


そんなことがあっていいのかしら?


でも、ジロウさんが私にウソを言うメリットなどは、ありませんから。


ウソではないはずです。



その先生が毎日放課後に弾いていたというドイツ製の年代物のビアノは、今も講堂の隅においてあります。



私は、楽天的で能天気で、のんびり屋さんです。のんびりしているはずが、頭に何かひっかかる事があると、いてもたってもいられなくなります。



行って、学校に行って、調べてみたい、

今もあるのかを調べたい。



私は、クミコとエイミに電話で話しました。



勉強オンリーで世俗のことには興味を示さないクミコですが、先日の講堂への廊下で、エイミが口うるさい付属上がりの男子にイチャモンを付けられてから、少し変化していました。私達3人は浮いていたのですから。


クミコは、クラスのみんなから、ちょっと無視されるような雰囲気らしく。私の話を聞くと、

「調べましょう、調べて、あいつらをやっつけましょう!」


血気盛んな様子になり、エイミは勿論自分のことで、それもデブだとかなんだとか、理不尽なイチャモンを付けられた事から、私達3人が浮き始めたのですから、


「まあ!!それ、本当だったら、凄くない?  まずは、調べましょう!」



と、3人の意見は一致したのです。

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