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第7話

 333とは何を意味するのか。


クミコとエイミと私は、私の家に集まり、どのように調べて、


どのような方法で具体的にエイミをデブだのなんだのと言って、


また、エイミを援護したクミコを、ひいては私をも、ヨソモノ扱いして、


学校の中で浮いた存在にした連中にお灸をすえるかを、話し合いました。


 ジロウさんから聞いた話で私が閃き、図面にしたものを2人に見せましたが、


2人ともに首をひねります。


「数字ばかり、、何?」


「リナ、、リナやジロウさんには、理解出来るかもしれないけど、私にはさっぱりよ。」


「ジロウさんのお話は、つまり、地下室があるのよね。」


「そうよ、元、うーん、昭和の時代の18年頃に造られた、、」


「防空壕よね。」


私は、私のしゃらしゃらとシャープペンで描いた図面が、


ジロウさんには理解出来るけれど、クミコにもエイミにも、さっぱり理解出来ないことに唖然としてしまって、


少しがっかりしていました。


今、すべきは、現在もその地下室が存在するかどうかを調べるのが先なのだけれど。



学校の恥、また、ジロウさん達3人組にとっては、ノゾキをした、


それも、繰り返してした、つまり、未来ある3人には、強烈な恥。


それで、秘密なのだけれど、秘密にする必要もないのでは、


いやいや、学校の恥、私達の母校になる、その学校がマスコミなどに取り上げられたりしたら。


そうですねとは思いもするのですが。


と、そこへ、モジャモジャ頭にクレープのステテコスタイルの伯父さんが、


ノックもしないでいきなり入ってきました。


きゃー!

わっ!!


エイミもクミコも、伯父さんの登場に立ち上がって大声で驚きますが。


伯父さんは廊下で私達の話を聞いてしまったようでした。


私達は、家の中に伯父さんが、それも、私の部屋の斜め向かいは、伯父さんの書斎です。


昼間ですから、まさか、大人が家の中に居るとは、頭になく、私達3人は声を低めることなく、話し合いをしていたのです。


「あーーー、悪かったね、


いやね、廊下で聞いちゃったよ。


僕も、同じだからね、、」



そうでした、母も伯父さんも、祖父母も、みんな、私達の学校卒業です。


私の描いた図面を見た伯父さんは、


そうか、3繋がりにしてるんだ、、。


ふんふんと独り納得していましたが、


私はやはり、伯父さんには通じる、数学者の叔父さんには通じるのだと、ちょっとだけ嬉しくなりました。


数学好きに言葉は必要ないのです。


一見、数字ばかりを羅列してある中に、意味することをすぐ理解します。



「ジロウの奴は、困ったものだ、


人様の愛の営みを盗み見るなど、、困った奴だ、」


「でも、伯父様、、校長先生が、若い新任の女性教師とそのようなこと、、


ジロウさん達は偶然見てしまったのですから。」


「まあ、、そういうのは、


あそこは、私達の時代から、いろいろね、


ささやかれていたんだ、、


それにしても、リナちゃんは、さすがだな、、ジロウの奴のバカ話を聞いて、すぐ閃くとは。」



校舎、体育館、屋内テニスコート、講堂、図書館、


それらの配置を頭に描くと、


廊下の配置が不思議な形状であることにすぐ気付くはずなのだけれど。



5階建ての校舎の中央玄関を円の中心として考えると、よく理解できるはずで。


古い建造物といえど、講堂と図書館の間の不自然な丘、芝生だけの小高い丘、そこは立ち入り禁止区域になっている。


円の中心、えーと、校舎の玄関を起点とすると、


そこから33.3度の位置に体育館があり、


体育館から33.3度の位置に屋内テニスコートがある。


そのようにして、33.3度ずつ計りながら進むと。


エイミもクミコも、一般的には学業成績は良く頭も良いはずなのだけれど、


ジロウさんや伯父さんには通じる意味が、ちっとも通じなく、


私は33.3についての話はやめて、もっと具体的に今後私達がするべきことを話し合うことにしたのですが。


割り切れない数字には、余りが出ます。


その余り部分が現在は立ち入り禁止になっている丘であり、


そこの地下に元は防空壕として造られた地下室があるということなのですが。


私達の学校の住所は、区の後に町名、そから、三丁目三番地三号との表記になっています。


また、学校の代表電話の末尾は、


333になっています。


創立者か創立する時に大枚の寄付をした人が3が好きだったのか、


意識的に3を使ったのか。


333もしくは、33.3。



ジロウさん達は、地下室でセイコ先生と校長先生が逢い引きをしている様子をノゾキ見していましたが、


セイコ先生は講堂から行ったとして、後から現れた校長先生は一体どこから現れたのかが、不思議でした。


それで、3日間に渡り、講堂に潜み、ノゾキを続けたらしいのですが。


セイコ先生は、校長先生だけでなく、


次の日には、体育の先生が相手だったそうです。


そして、3日目も体育の先生。



地下室に通じるのは、廊下から。


不自然に造られた細い廊下からのはずでした。


私の図面によると。


伯父さんは、昔も父兄の間で騒ぎになって、辞職した教師がいたとか。


逢い引きの場所だったのかと、妙に納得した風でしたが。


「リナちゃんの図面は正しいだろうな。


講堂の隅のピアノの下が入り口、だとすると、


図書館への廊下に入り口がある。


地下室はあの丘の下。だね、リナちゃん。」



私は説明することなく、すぐ理解してくれた伯父さんを、


それまで、苦手な人でしたが、見直しました。


そして、やはり、私はこの伯父さんと似ているのかもしれないと、嬉しくもなりました。


父や母の言うことは正しいのだと。


伯父さんはいつも、だらしない格好をしていて、頭もいつ床屋さんに行ったのか分からないようなヘアスタイルなので、毛嫌いしていたのですが。


一族の血というのは、繋がりのある者に、ふいに出てくるものなのだなと。



ぽかんとしているエイミとクミコでしたが、


明日の放課後にでも、その地下室探索をすることに決めました。


エイミの関心はセイコ先生にあるようで、


ジロウさん達が高校3年の夏に退職したとか。


そして噂では、子供を産み、シングルマザーとして子育てしているとか。


エイミは、その子の父親は校長なのか、体育教師なのか、それを知りたいとか。


4年前から、校長先生は変わらず同じ人で、体育のその先生もいます。


エイミは、汚ならしい、汚ならしい、だから、男はいや、、そればかりを言い、


モジャモジャ頭の伯父さんは、こっそりと部屋を出て行きましたが。









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