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第11話

 テニス部の部室の電気が消え静かになる頃、


私達3人は丈の高い雑草の中にひそんでいて、

まるで落ち武者のような哀れな様相になっていたのですが、


あたりは薄暗くなり、敷地を歩く人も殆んどいなくなりました。



すると、今までザブザブ降っていた雨が止みました。


雨が止んだだけでなく、涼しい風がそよそよと吹き始めて、


私はそれまでの不快感が自分の体から抜けていくようでした。


蛇に巻きつかれることもなかったので、本当にほっとしました。


私達は顔を見合わせ、傘を閉じて、濡れそぼったまま、


背中にリュックサックを背負い、何食わぬ顔で背筋を伸ばして、校舎に向かいました。


正面玄関は避け、殆んど部活動をしている人達だけか使う、少々汗臭い匂いに満ちている、西玄関に向かいました。


幸運なことに、西玄関を入り、図書館への廊下を進みましたが、


誰とも会いませんでした。


私達は、廊下の床板を数えながら進みました。


ここで333です。


イトコのジロウさんは、校舎側からでも、図書館側からでも床板が333枚目が鍵になっている、


333枚目の側面壁を押すと床板が外れると話していました。


床板は幅は15センチほどです。


人間が出入り出来るのだろうかと訝る私に、

ジロウさんは笑いながら、


「やってみたら、解るよ、、」


それだけでした。意味深に笑うだけでした。


慎重に一枚一枚数えながら進む私達。


333枚目の床板は、ちょっと違います。


注意をしてみると、それはフェイクでした。


木製にみせた金属の板でした。


そこに足をのせると、ひどいギシギシ音が鳴りました。


私は333枚目の床板、実際は鋼鉄の板の側面の壁を素手で探ります、


丁寧に探ると、すぐ解りました、


木目の模様に似せてはいますが、


少しへこんだ部分があり、そこを丁寧に探りながら木目の模様に合わせたレバーをみつけ、


クミコとエイミに目配せして、レバーを引いてみると、



なんと、側面の壁と床板が動き、地下通路への入り口が開きました。


随分と傷んで錆びた匂いがフワッ~と蒸れてきて。



私達は、恐る恐る、錆びた鉄製の細い階段を3人が降り終わると、


真っ暗な中、階段横の壁を手で探り、丸い突起をみつけると、ぐーんと押してみましたが、廊下の床板は動きません、、


クミコが代わって押すと、ギーッという音と共に、床板は元に戻ったようでした。



私達は阿吽の呼吸でした。


無言で助け合いながら、進むのですが、壁に電気のスイッチをみつけましたが、反応せず、それぞれが、懐中電灯を出して、真っ暗な中を進みました。



背の高いクミコは背をかがめますが、私は背を伸ばしても余裕がありました。



カビ臭い匂いと、じとっとした湿気が感じられました。



いよいよ、地下室へと近づいた私達ですが、


本来の目的は私達の頭からは消えていたはずです。



目の前には、恐ろしい光景が現れてきたからです。


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