テニス部の部室の電気が消え静かになる頃、
私達3人は丈の高い雑草の中にひそんでいて、
まるで落ち武者のような哀れな様相になっていたのですが、
あたりは薄暗くなり、敷地を歩く人も殆んどいなくなりました。
すると、今までザブザブ降っていた雨が止みました。
雨が止んだだけでなく、涼しい風がそよそよと吹き始めて、
私はそれまでの不快感が自分の体から抜けていくようでした。
蛇に巻きつかれることもなかったので、本当にほっとしました。
私達は顔を見合わせ、傘を閉じて、濡れそぼったまま、
背中にリュックサックを背負い、何食わぬ顔で背筋を伸ばして、校舎に向かいました。
正面玄関は避け、殆んど部活動をしている人達だけか使う、少々汗臭い匂いに満ちている、西玄関に向かいました。
幸運なことに、西玄関を入り、図書館への廊下を進みましたが、
誰とも会いませんでした。
私達は、廊下の床板を数えながら進みました。
ここで333です。
イトコのジロウさんは、校舎側からでも、図書館側からでも床板が333枚目が鍵になっている、
333枚目の側面壁を押すと床板が外れると話していました。
床板は幅は15センチほどです。
人間が出入り出来るのだろうかと訝る私に、
ジロウさんは笑いながら、
「やってみたら、解るよ、、」
それだけでした。意味深に笑うだけでした。
慎重に一枚一枚数えながら進む私達。
333枚目の床板は、ちょっと違います。
注意をしてみると、それはフェイクでした。
木製にみせた金属の板でした。
そこに足をのせると、ひどいギシギシ音が鳴りました。
私は333枚目の床板、実際は鋼鉄の板の側面の壁を素手で探ります、
丁寧に探ると、すぐ解りました、
木目の模様に似せてはいますが、
少しへこんだ部分があり、そこを丁寧に探りながら木目の模様に合わせたレバーをみつけ、
クミコとエイミに目配せして、レバーを引いてみると、
なんと、側面の壁と床板が動き、地下通路への入り口が開きました。
随分と傷んで錆びた匂いがフワッ~と蒸れてきて。
私達は、恐る恐る、錆びた鉄製の細い階段を3人が降り終わると、
真っ暗な中、階段横の壁を手で探り、丸い突起をみつけると、ぐーんと押してみましたが、廊下の床板は動きません、、
クミコが代わって押すと、ギーッという音と共に、床板は元に戻ったようでした。
私達は阿吽の呼吸でした。
無言で助け合いながら、進むのですが、壁に電気のスイッチをみつけましたが、反応せず、それぞれが、懐中電灯を出して、真っ暗な中を進みました。
背の高いクミコは背をかがめますが、私は背を伸ばしても余裕がありました。
カビ臭い匂いと、じとっとした湿気が感じられました。
いよいよ、地下室へと近づいた私達ですが、
本来の目的は私達の頭からは消えていたはずです。
目の前には、恐ろしい光景が現れてきたからです。