目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第8話 鉱山の入り口



リリィとクラウディウスは、クラウス宰相の次なる陰謀が進められている北の鉱山に到着する。しかし、その鉱山は思いのほか厳重に守られており、二人は再び潜入の手段を模索することになる。



---




冷たい風が山肌を吹き抜ける中、リリィとクラウディウスは北部鉱山の入口を見下ろしていた。鉱山へと続く斜面の周囲には、複数の見張りが配置されている。周辺には簡易な監視塔が立ち並び、道を塞ぐように木箱や鉄製の障害物が置かれていた。


「まるで軍の駐屯地みたいだな。」

クラウディウスは遠くの様子を眺めながら低く呟いた。その目は鋭く、鉱山を守る兵士たちの動きをじっくりと観察している。


「ここはただの鉱山じゃないわね。」

リリィも同じ方向を見つめながら答えた。兵士たちは単なる作業員の護衛ではなく、完全に訓練された戦闘部隊のように見えた。



---


鉱山の様子


「この鉱山、ただの資源地じゃないわ。何か他の目的がある。」

リリィは小声で考えをまとめながら、持ってきた地図を広げた。鉱山の全体図はざっくりとしたもので、詳細な情報は乏しかった。しかし、彼女は周囲の地形を利用した潜入経路を素早く考え始める。


「西側の崖を回り込めば、見張りの視界から外れた隙間があるわ。でも足場が悪いから慎重に進まないと。」


クラウディウスは地図に目をやり、すぐに頷いた。「君の案でいこう。正面突破は愚策だ。」


リリィは短く頷くと、マントの下から短剣を取り出し、さらに必要な道具を確認した。「行きましょう。時間がないわ。」



---


潜入開始


二人は西側の崖へと移動し、足音を立てないよう慎重に岩場を進んでいった。崖は思った以上に急で、滑落の危険がある。クラウディウスはリリィの後ろをついていきながら、ふと彼女に声をかけた。


「君、まったく躊躇しないんだな。王女らしからぬ度胸だ。」


リリィは崖を降りる手を止めず、振り返らずに答えた。「私は生まれつきの王女じゃないわ。ただ、この国を守るために必要なことをしてるだけ。」


その言葉にクラウディウスは少し驚いた様子だったが、それ以上は何も言わず、彼女の後を追った。



---


予想外の障害


崖を無事に降りきり、鉱山の裏手にたどり着いた二人。しかし、そこには彼らが予想していなかった障害があった。鉱山へと続く道には、巨大な鉄の扉が立ちはだかっていたのだ。


「これは……防御のためのものか?」

クラウディウスは扉に手を当て、観察を始めた。厚みのある鉄板と頑丈な鍵が、それを簡単には開けさせないようにしている。


「おそらく、侵入者を防ぐためのものね。」

リリィも扉の周囲を調べながら答えた。だが、その表情にはわずかな焦りが見える。


「どうする?この扉を突破しなければ、中に入れないぞ。」

クラウディウスが尋ねると、リリィは少し考え込んだ後、小声で答えた。


「扉を開ける方法を探すしかないわ。まずは周囲をもう少し調べましょう。」



---


隠された通路の発見


リリィとクラウディウスは扉の周囲を慎重に調べ始めた。すると、扉の脇に小さな通風口があることに気づいた。それは人が通れるほどの大きさではなかったが、内部の様子を伺うには十分だった。


「この通風口、内部と繋がっているわね。」

リリィは通風口の隙間から内部を覗き込み、低い声で呟いた。「ここから中の見張りの様子が分かるかも。」


クラウディウスもその隙間を覗き込み、内部の状況を確認する。中には複数の兵士が見回りをしており、さらに奥には何か巨大な機械のようなものが設置されているのが見えた。


「これは……武器を製造しているのか?」

クラウディウスが驚いた声を上げると、リリィは鋭い目つきで頷いた。


「間違いないわ。クラウスはこの鉱山を資源地としてだけでなく、武器製造の拠点として利用しているのね。」



---


潜入の手段を模索


二人は引き続き扉を突破する方法を探したが、周囲には特に目立った弱点は見つからなかった。そこでリリィは一つの案を思いついた。


「中に見張りがいるなら、彼らの動きを利用するしかないわね。」


「どういうことだ?」

クラウディウスが問い返すと、リリィは微笑んだ。


「見張りの一人に紛れて、内部に潜入するのよ。そのためには、まず一人を捕まえて変装する必要があるけれど。」


クラウディウスはしばらく考えた後、頷いた。「なるほどな。その作戦、やってみる価値はありそうだ。」



---


作戦の開始


二人は扉の近くで見張りが交代するタイミングを狙い、その隙を突いて一人を確保することに成功した。リリィは素早く相手の服を脱がせ、自分の上に羽織る。


「君、意外と手馴れているな。」

クラウディウスが感心したように言うと、リリィは軽く肩をすくめた。


「隠密の技術って便利でしょ?」


こうしてリリィは見張りに変装し、扉を通じて内部に潜入する準備を整えた。一方でクラウディウスは外からサポートし、リリィの進入を見守ることとなる。



---


次への準備


鉱山の内部では、さらなる危険が待ち受けている。しかし、リリィとクラウディウスは徐々に絆を深め、クラウス宰相の陰謀に立ち向かう準備を整えていた。



---





この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?