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第9話 鉱山内部への潜入

リリィが見張りに変装して鉱山の内部に潜入する間、クラウディウスは外部からサポートする。しかし、内部ではクラウス宰相の陰謀を示す証拠が次々と明らかになり、リリィは新たな危機に直面することとなる。



リリィは見張りの服を身にまとい、鉱山の巨大な鉄の扉を通過した。変装したおかげで、扉を守る兵士たちは特に疑いもなく彼女を通したが、その緊張感は消えなかった。短剣を腰に隠しながら、リリィは内部の様子を観察し始めた。


鉱山の内部は広大で、暗い通路がいくつも伸びている。壁には簡素な照明が取り付けられ、淡い光が通路を照らしていた。奥からは金属が打ち合わされる音や、機械の駆動音がかすかに響いている。


「これがただの鉱山じゃない証拠ね……。」


リリィは小声で呟きながら、足を進めた。


内部の様子


鉱山の中心部に向かうと、そこは作業場として利用されているようだった。複数の作業員が忙しそうに動き回り、大量の金属が溶解炉に運ばれている。さらに奥には、完成した武器や防具が並べられていた。


「これほどの規模で武器を製造しているなんて……。」


リリィは驚きと怒りを胸に秘めながら、慎重に隠れつつ周囲の様子を探る。その中で、一人の男が目に留まった。彼はリクター・エインズに代わる責任者らしく、部下たちに次々と指示を出している。


「クラウス宰相の計画が順調に進んでいることを報告しろ。次の輸送計画も早急に準備するように!」


その男の声を聞き、リリィは息を呑んだ。やはりここはクラウス宰相が仕組んだ陰謀の拠点であり、セレノア王国の支配を狙った計画の一環だったのだ。


通信の拠点を発見


リリィはさらに調査を続け、鉱山の奥にある一室にたどり着いた。そこは他の部屋とは異なり、簡素な机や椅子が並び、通信装置が設置されている。壁には地図や計画書が貼られており、クラウスの計画が詳細に記されていた。


「この地図……セレノア王国の主要拠点が全て記されている。」


リリィは地図に描かれた赤い印を見つめながら、その計画の大きさに圧倒された。これは単なる資源の独占ではなく、王国全体を揺るがす大規模な策略だ。


緊急事態の発生


しかし、リリィが計画書を確認している最中、背後から足音が近づいてきた。すぐに気配を感じたリリィは、通信室の片隅に身を隠した。


「誰だ!?」


現れたのは、先ほどの責任者だった。彼は室内を見回し、机の上の計画書が乱れていることに気づく。眉をひそめながら、部下たちに声をかけた。


「侵入者がいるかもしれん。全員で捜索しろ!」


リリィは息を潜め、責任者が部下たちに指示を出す間、隙をついて通信室から抜け出した。しかし、警戒態勢が敷かれたことで、鉱山の内部を自由に動き回ることは難しくなった。


クラウディウスとの連絡


外部に待機していたクラウディウスは、リリィが扉を通過してから随分と時間が経っていることに気づき、不安を感じ始めていた。彼は周囲を警戒しつつ、リリィからの合図を待っていた。


その時、彼の手元に隠し持たせていた簡易の通信装置が振動した。リリィからの連絡だった。


「状況はどうだ?」

クラウディウスが小声で問いかけると、リリィの落ち着いた声が返ってきた。


「計画の一部を突き止めたわ。でも、見張りが増えている。脱出の準備をお願い。」


「了解した。合図をくれれば迎えに行く。」

クラウディウスは通信を切り、すぐに脱出の準備を始めた。


鉱山内部の脱出戦


リリィは見張りの目をかいくぐりながら、鉱山の出口を目指した。しかし、途中で追っ手に発見され、激しい追跡が始まった。


「止まれ!侵入者だ!」


複数の兵士がリリィを追いかけ、鉱山内の通路を駆け回る。リリィは狭い通路を利用して追っ手を撒きながら、出口に近づいていった。


外での再会


ついに鉱山の外にたどり着いたリリィは、待機していたクラウディウスの元へと駆け寄った。


「無事か?」

クラウディウスはすぐに彼女を迎え入れ、剣を構えながら追っ手に備えた。


「今は急いで逃げるわよ!」

リリィはそう言うと、クラウディウスと共に山道を駆け下り始めた。


新たな決意


安全な場所まで逃げ延びた二人は、鉱山で手に入れた情報を共有した。リリィが持ち帰った地図と計画書には、クラウス宰相がセレノア王国全体を支配するための詳細な策略が記されていた。


「これが奴の真の目的か……。」

クラウディウスは地図を見つめ、拳を握りしめた。


「次の手を打たなければならないわ。これ以上、彼の計画を進ませるわけにはいかない。」

リリィの言葉には強い決意が込められていた。


二人はさらなる行動を起こすべく、次なる目的地への準備を進めるのだった。





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