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第14話 援軍到着までの戦い

援軍が到着するまで、リリィとクラウディウスは限られた戦力で貿易港を死守する必要があった。敵は体制を立て直し、再び二人を包囲し始める。援軍が間に合うかどうか、彼らの忍耐と技術が試される戦いが始まる。


静寂から始まる戦い


薄明かりが港を照らし始めたころ、リリィとクラウディウスは高台から港全体を見下ろしていた。敵の動きが再び活発になり、隊列を整えながら進軍しているのが見える。


「奴ら、倉庫を中心に体制を固めているわね。」

リリィは双眼鏡を覗き込みながら、敵の配置を確認していた。彼女の目線は鋭く、敵の動きを一つも見逃さない。


「まだ船を動かす気か?」

クラウディウスが問いかけると、リリィは首を振った。


「いいえ。船は動かせない。でも、物資を守るためにこちらに攻めてくるつもりよ。」


防衛の準備


二人は、援軍が到着するまでの時間を稼ぐため、防衛の準備を急いで進めた。高台周辺の岩場を利用して簡易なバリケードを築き、敵の進軍を遅らせる罠を仕掛ける。


「君の準備はいつもながら素早いな。」

クラウディウスが感心したように言うと、リリィは微笑みながら答えた。


「隠密としては、迅速さが命だから。」


罠の設置を終えた二人は、それぞれの戦闘準備を確認し、息を整えた。


敵の攻撃開始


「全軍、突撃せよ!」

敵の指揮官が叫ぶと同時に、兵士たちが一斉に高台へと押し寄せてきた。


リリィは短剣を抜き、敵の先頭に立つ兵士を狙い、的確な投擲で動きを止めた。クラウディウスは剣を振るいながら、敵の大群を押し返そうと奮闘していた。


「こいつら、しつこいわね……!」

リリィは短剣を振りながら、押し寄せる敵を次々と倒していく。


「ここを突破されたら、港全体が奴らの手に落ちる。絶対に守り抜くぞ!」

クラウディウスは力強い声で叫び、敵の攻撃を耐え抜いていた。


戦局の転機


戦いが激しさを増す中、リリィは敵の指揮官が高台を遠巻きに見ていることに気づいた。


「指揮官があそこにいる……。」

彼女は小声で呟きながら、クラウディウスに目配せを送った。


「指揮官を倒せば、敵の動きが止まるはずだ。」

クラウディウスはその提案に頷き、リリィに援護を任せて指揮官に向かって突撃した。


指揮官との対決


クラウディウスは敵の群れをかき分けながら指揮官に接近した。指揮官は槍を構え、冷笑を浮かべながら彼を迎え撃つ。


「よくここまで来たな。だが、お前ごときに私を倒せると思うな!」

指揮官は鋭い突きを繰り出したが、クラウディウスはその動きを見切り、剣で槍を弾き飛ばした。


「口が過ぎるぞ!」

クラウディウスは全力で剣を振り下ろし、指揮官を地面に叩き伏せた。


指揮官が倒れると、敵の兵士たちは動揺し、一斉に戦意を失った。


援軍の到着


その時、遠くから角笛の音が響いてきた。それはセレノア王国の援軍の到着を知らせる合図だった。援軍の軍勢が港に突入し、次々と敵を制圧していく。


「来たわね……これで形勢は逆転よ。」

リリィは安堵の表情を浮かべながら、援軍が敵を圧倒する様子を見守った。


戦いの終結


援軍の助けによって、リリィとクラウディウスは港を完全に守り抜くことができた。港には戦いの痕跡が残り、倒れた兵士たちが静かに横たわっている。


「なんとか間に合ったわね。」

リリィは疲労した声で言いながら地面に腰を下ろした。


「君がよく持ちこたえてくれたおかげだ。」

クラウディウスは剣を鞘に収め、リリィに感謝の言葉を伝えた。


次なる戦いへの決意


「クラウス宰相の計画はまだ終わっていないわ。


次は奴の本拠地を突き止める番ね。」


リリィの目は新たな決意に燃えていた。


「君となら、どんな敵でも乗り越えられる気がす る。」


クラウディウスは微笑みながら言った。


二人は短く頷き合い、さらなる行動に向けて準備 を始めた。クラウス宰相の野望を完全に打ち砕く ため、彼らの戦いは続いていく。

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