援軍の助けで港を守り切ったリリィとクラウディウス。しかし、クラウス宰相の陰謀は止まらず、新たな動きが浮上する。二人は次なる手がかりを探るため、港で見つかった物資や書類をもとに、敵の計画を暴く作戦を開始する。
朝日が港に差し込む頃、リリィとクラウディウスは援軍の指揮官と共に港内を調査していた。激しい戦闘の痕跡が残る中、敵が残していった物資や書類を確認しながら、次なる手がかりを探っていた。
「これだけの武器を揃えるのに、一体どれだけの資金が必要だったのかしら……。」
リリィは倉庫に山積みにされた武器や防具を見つめながら呟いた。
「それにしても、奴らの撤退はあまりにも早すぎた。まるで、ここが本命じゃなかったかのようだ。」
クラウディウスも同じく不審な表情を浮かべていた。
残された書類
港の奥の部屋から見つかった書類は、クラウス宰相の次なる計画を示す手がかりとなった。その中には、武器の配布先や、王国全体に影響を及ぼす可能性のある物流計画が記されていた。
リリィはその一枚を手に取り、内容を確認した。「ここに書かれているのは……南部の鉱山?そこが次の拠点ってこと?」
クラウディウスは地図を広げながら言った。「南部の鉱山か……確かに、あそこは資源が豊富だ。もし奴らが鉱山を完全に掌握すれば、我々の国力に致命的な打撃を与える。」
「となると、次の目的地は決まったわね。」
リリィは強い決意を込めて言った。
援軍指揮官との対話
調査を進めていたリリィたちのもとに、援軍の指揮官がやってきた。その男は中年で、厳格な表情を浮かべた人物だった。
「お二人のおかげで港を守り抜くことができた。感謝する。」
指揮官は深々と頭を下げた。
「感謝するのはこちらの方よ。この援軍がなかったら、私たちはここまで持ちこたえられなかったわ。」
リリィは控えめに答えた。
クラウディウスが指揮官に問いかけた。「指揮官殿、貴殿の部隊を次にどこへ動かすつもりだ?」
指揮官は地図を指しながら言った。「我々は北部の要塞へ向かう予定だ。そこでも敵の動きが確認されている。お二人はどうするつもりだ?」
「南部の鉱山へ向かうわ。」
リリィは即答した。「クラウス宰相の次の狙いがそこだと判明したの。」
指揮官は驚いた表情を浮かべたが、すぐに真剣な面持ちで頷いた。「南部は我々の手が届かない地域だ。お二人の力に期待させてもらう。」
別れと決意
援軍の指揮官と別れ、リリィとクラウディウスは港を後にする準備を進めた。その際、クラウディウスがふとリリィに問いかけた。
「君は本当に王女らしくないな。」
突然の言葉にリリィは驚いた表情を浮かべた。
「どういう意味かしら?」
彼女は少し険しい顔で返す。
クラウディウスは苦笑いしながら言った。「普通の王女なら、こんな危険な状況で自ら剣を取ることなんてしない。だが、君は違う。」
リリィは微笑みながら答えた。「私がこうして戦えるのは、守りたいものがあるからよ。それに、王女らしくない方が生き残るのには都合がいいわ。」
出発の準備
二人は簡単な補給を終え、南部の鉱山へ向けて出発した。道中の山道は険しく、気を抜けば足を滑らせてしまうほどだった。
「こんな道を通って鉱山まで行くのか……。」
クラウディウスは険しい顔で呟いた。
「文句を言っている暇はないわよ。」
リリィは前を向いたまま答えた。その声には、次の戦いへの決意が込められていた。
新たな陰謀の兆し
山道を進む中、二人は途中の小さな村に立ち寄った。その村は閑散としており、住民たちは怯えた表情を浮かべていた。
「何かがおかしいわね……。」
リリィは村を見回しながら呟いた。
村人の一人に話を聞くと、どうやら最近、武装した集団がこの村を通り、物資を略奪していったという。
「その集団はどこへ向かったの?」
リリィが尋ねると、村人は怯えた様子で答えた。
「南の鉱山です……。あそこに何かがあると言っていました。」
リリィとクラウディウスは顔を見合わせ、新たな敵の動きを確信した。
次なる戦いへの準備
村を後にし、二人は鉱山へと急いだ。その表情には決意が宿り、これから始まる戦いに向けて心を固めていた。
「クラウス宰相の計画をここで止めるわよ。」
リリィは静かに呟いた。
「君がいる限り、俺たちは勝てるはずだ。」
クラウディウスも応えるように言った。
こうして二人はさらなる戦いに挑むため、危険な鉱山へと足を踏み入れた。