リリィとクラウディウスは港で得た情報をもとに、クラウス宰相の次なる拠点とされる南部の鉱山に到着する。しかし、そこはただの鉱山ではなく、彼らの予想を超える規模の陰謀が進行していた。二人は潜入を試みるが、思わぬ罠に巻き込まれる。
鉱山の入り口にたどり着いた二人は、険しい崖の合間に掘られた巨大な洞窟を見上げていた。その周囲には見張りの兵士が配置され、入り口は厳重に警備されている。
「ここまで厳重に警備されている鉱山なんて、普通じゃないわね。」
リリィは低い声で呟きながら、岩陰に身を潜めた。
「これじゃ、正面突破は無理だな。」
クラウディウスも周囲を見回しながら答えた。「どうする?裏手の道を探すか?」
リリィは少し考えた後、首を横に振った。「裏手は罠が仕掛けられている可能性が高いわ。この見張りの配置を利用して、隙を突いて潜入しましょう。」
「了解だ。君が指示をくれ。」
クラウディウスは剣を握り直し、リリィに視線を向けた。
隠密行動の開始
リリィは見張りの動きをじっくり観察し、巡回の間隔を計算した。「あそこの岩陰まで走るわよ。その次に、一気に洞窟の中へ入るの。」
クラウディウスは短く頷き、二人は見張りが視線を逸らした瞬間を狙って移動を開始した。リリィの隠密技術は見事なもので、敵の気配に気づかれることなく岩陰へと滑り込むことができた。
「次は洞窟の中ね……でも、警戒は怠らないで。」
リリィは短剣を手にしながら、低い声で警告した。
「分かっているさ。ここまで来たら慎重に動くしかない。」
クラウディウスも剣を抜き、緊張した面持ちで答えた。
洞窟の中の異常
洞窟の中に入ると、そこには予想を超える規模の作業場が広がっていた。巨大な溶鉱炉や武器の製造設備が並び、無数の労働者たちが忙しく動き回っている。
「まるで要塞ね……。」
リリィは息を呑みながら呟いた。「これだけの規模の施設を建設するには、莫大な資金が必要だったはず。」
「クラウス宰相の力は、俺たちが思っていた以上に根深いな。」
クラウディウスは険しい表情を浮かべながら、作業場全体を見渡した。
二人は物陰に隠れながらさらに進むと、洞窟の奥に指揮官らしき人物が現れるのを目撃した。彼は部下に指示を出しながら、製造された武器を次々と確認している。
「見つけたわね……あの男がここの責任者みたい。」
リリィは短剣を握りしめながら呟いた。
思わぬ罠
しかし、二人がさらに近づこうとした瞬間、足元から奇妙な音が響いた。リリィが気づいたときには遅かった。地面に隠されていた罠が作動し、二人は足元の網に絡め取られてしまった。
「くっ……罠だ!」
クラウディウスは剣で網を切ろうとしたが、網は頑丈で簡単には破れない。
「こんなところに罠を仕掛けているなんて……。」
リリィも短剣で網を切り裂こうとするが、敵の足音が近づいてくるのを感じて焦りを覚える。
「見つけたぞ、侵入者だ!」
敵の兵士たちが現れ、二人を取り囲んだ。
窮地からの脱出
リリィは冷静さを保ちながら、兵士たちを見渡した。そして、短剣を素早く抜き、網の一部を切り裂いて自らを解放した。
「クラウディウス、早く!」
彼女はクラウディウスにも指示を出し、彼の網を切るのを手伝った。
解放されたクラウディウスはすぐに剣を構え、迫ってくる兵士たちに立ち向かった。リリィもその隙を突いて、敵の背後に回り込む。
「数が多いけど、なんとかなるわ!」
リリィは短剣を振り、敵の武器を弾き飛ばしていく。
二人の連携は見事で、次々と敵を倒し、ついには洞窟の奥へと逃げ込むことに成功した。
洞窟のさらに奥へ
洞窟の奥へ進むと、そこにはさらに巨大な空間が広がっていた。中央にはクラウス宰相の紋章が刻まれた旗が立てられ、その周囲には完成した武器が山積みにされている。
「これが奴らの本拠地ね……。」
リリィは険しい表情で呟いた。
「だが、このままここを破壊するわけにはいかない。もっと情報を得て、王宮に伝える必要がある。」
クラウディウスは慎重な口調で答えた。
リリィもその意見に頷き、さらに奥へ進むことを決意した。
新たな敵の出現
しかし、その時、洞窟の奥から重い足音が響いてきた。二人が振り返ると、そこには巨大な男が立ちはだかっていた。その男は全身に鎧をまとい、巨大な戦斧を手にしている。
「侵入者よ、ここで終わりだ。」
男の声は低く、威圧感に満ちていた。
リリィとクラウディウスは互いに目配せをし、戦闘の構えを取った。
「ここでやられるわけにはいかないわ。」
リリィは短剣を構えながら低く呟いた。
「俺たちでこの巨人を倒す。そして、この計画を止めるぞ。」
クラウディウスも剣を構え、覚悟を決めた。
二人は力を合わせ、この新たな敵に立ち向かう。