巨人を倒して洞窟の奥に進んだリリィとクラウディウスは、クラウス宰相の計画を直接確認することになる。しかし、そこでは予想をはるかに超える規模の陰謀が進行していた。二人は慎重に行動を進めるが、次なる危険が迫る。
巨大な扉をゆっくりと押し開けると、その先には広大な空間が広がっていた。壁一面に燭台が並び、無数の松明が洞窟内を明るく照らしている。床にはクラウス宰相の紋章が刻まれており、まるで儀式が行われる神殿のような荘厳さを持っていた。
「ここは……ただの鉱山じゃない。」
リリィは息を飲みながら低い声で呟いた。
「こんな場所を隠し持っていたとは……クラウスの計画がこれほど大規模だとはな。」
クラウディウスも目を見開き、周囲を見渡した。
二人は足音を忍ばせながら、空間の中央にある巨大な机へと近づいていった。机の上には山積みになった書類と地図が広がっており、その内容は彼らの国全体を巻き込む陰謀を示していた。
陰謀の証拠
リリィは机の上の地図を手に取り、その内容を確認した。そこには王国全土が描かれ、各地に赤い印が記されていた。
「これは……軍事拠点の場所?」
彼女は地図を指さしながら言った。
「いや、それだけじゃない。ここに記された印は、奴らが次に攻撃を仕掛ける予定の場所だ。」
クラウディウスは地図を見ながら顔を険しくした。「この印の一つは、俺たちの王都だ……。」
リリィは眉をひそめ、書類の束を手に取った。その中には、大量の武器や資金の流れを記した詳細な取引記録が含まれていた。
「これだけの武器と資金を……どこから調達しているのかしら。」
彼女はその記録を見ながら呟いた。
クラウディウスは書類を確認し、驚愕の表情を浮かべた。「この名前……クラウスが密かに取引していた相手は隣国だ。奴は我々の敵国と手を組んで、この計画を進めていたんだ。」
謎の会議の声
その時、二人は洞窟の奥から複数の声が響いてくるのを耳にした。声の主たちは何やら重要な話をしている様子だった。
「計画は順調に進んでいる。次の段階に進むための準備も整った。」
「王都を攻撃するための物資はすべて集められた。あとは命令を待つだけだ。」
リリィはその声を聞き、目を見開いた。「まさか、ここで会議が行われているなんて……!」
「これはチャンスだ。奴らの計画を直接聞き出すことができる。」
クラウディウスは剣を手にし、慎重に声のする方へと近づいた。
会議の内容
二人が岩陰に隠れながら様子を伺うと、そこにはクラウス宰相に仕える高位の部下たちが集まっていた。彼らは地図を指しながら次々と指示を出し合っていた。
「北部の要塞はすでに制圧済みだ。次は王都への攻撃を開始する。」
「王都が落ちれば、クラウス様の支配は盤石になる。」
「そのために南部の鉱山で生産を続け、物資を補充する必要がある。」
リリィはその内容を聞きながら、小声でクラウディウスに話しかけた。「王都を攻撃する準備がほぼ完了しているみたい……これ以上、彼らの計画を進めさせるわけにはいかないわ。」
「だが、ここで手を出せば、逆に俺たちが包囲される可能性がある。」
クラウディウスは冷静な判断を下し、慎重に行動を続けるようリリィに促した。
思わぬ気配
しかし、その時、二人の気配を察知したかのように、一人の部下が振り返り、鋭い目で周囲を見回し始めた。
「誰かいる……。」
男の低い声が洞窟内に響き渡り、他の者たちも警戒を強めた。
リリィとクラウディウスは息を潜め、物陰に身を隠したが、すぐに足音が彼らの方向に近づいてきた。
「気づかれたか……!」
クラウディウスは剣を握り直し、戦闘の準備を整えた。
リリィも短剣を取り出し、低く構えた。「ここで捕まるわけにはいかない。素早く片付けましょう。」
決意の撤退
見張りの男が二人の隠れている場所を発見する寸前、リリィは短剣を放ち、男の武器を弾き飛ばした。その隙を突いてクラウディウスが飛びかかり、相手を制圧した。
「すぐにここを出るわよ!これ以上長居したら危険よ!」
リリィは机の上からいくつかの重要な書類を掴み取り、撤退の準備を始めた。
「了解だ!この証拠さえあれば、王都に戻って計画を阻止できる!」
クラウディウスはリリィの背を守るように敵の進行を防ぎながら、共に洞窟の出口へと向かった。
次なる戦いへの決意
二人はなんとか洞窟から脱出し、外の空気を吸い込んだ。その手には、クラウス宰相の計画を暴くための重要な証拠が握られていた。
「ここから急いで王都に戻るわよ。この証拠を使って彼の計画を暴露するの。」
リリィは書類を握りしめながら言った。
「だが、奴らも黙ってはいないだろう。追っ手が来る前に移動するぞ。」
クラウディウスは周囲を警戒しながら答えた。
二人は王都への道を急ぎ、次なる戦いへの準備を整えることを決意した。