「胡蝶…やっと君を見つけたよ」
「一郎さま…胡蝶はずっと一人で戦ってきた…あなたに会う夢だけを信じて!」
二人は抱きつくと、胡蝶は一郎の唇に口づけ、そのまま畳に押し倒す。覆いかぶさる胡蝶の瞳から流れ出る涙が一郎の顔も濡らしていく。お互いに涙を溢れさせながら、口を吸い合う。
しばらくして、ようやく胡蝶が口を離して、「これは夢なのよね?」と聞く。
一郎は「夢かもしれない。でも今夜の夢は、十一年前からの
一郎は胡蝶の目をまっすぐ見つめ、「君の身体のことも聞いたよ。でも、僕はその時、はっきりと思ったんだ。僕は胡蝶と絵について語り合いたい。それ以外のことは
この言葉を聞いた瞬間、胡蝶は全身から力が抜けるのを感じた。長年、心の奥底に押し込めていた苦しみや自己否定が、その一言で溶かされていくかのようだった。
瞳にまたぶわっと涙を溜めた胡蝶は、「私はあなたのことをずっとずっと、恋して、いえ愛してきました。一人きりだった私にとってあなたは光だったの」と声を震わせながら言う。
一郎は「それは僕にとっても、どうでもいいこと、ではないね」と照れくさそうに答える。
胡蝶は「私はもう我慢しない。あなたと一つになりたい」と言うと、一郎の下半身に手を添えて、自身の陰陽の陰に導く。
一郎は急に動揺して「ぼ、僕は女の人とそういうことをしたことがないんだ」と顔を赤らめる。
胡蝶は「そんなことは
束ねていない胡蝶の黒髪が一郎の鼻をくすぐる。一郎の鼻孔に懐かしい花の香りがふわりと広がっていく。