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第32話 夕食(4)

 ようやく弘樹が朱良と帰宅して、ダイニングルームに顔を出した。


「遅かったな」と和也。


「途中で、寝間着と下着を買っていたの」と朱良。


「順番にシャワーを浴びてきてちょうだい」と令子。


「一緒に入るわ」と朱良。


「ああ、その前に紹介しておくよ。娘の絵里だ」と和也。


「絵里、この人がお客さんの朱良さんよ」と令子。


「この人が弘樹兄さんの本当のお姉さん?」と絵里。


 その場が一瞬凍りついた。


「麻里姉さんと弘樹兄さんは血がつながってなかったのね。なんかおかしいと思ってた。他人みたいじゃなくて、本当に他人だったんだ」と絵里。


「絵里、さっきの話、聞いていたの?」と令子。


「お父さんのことがますます嫌いになったわ」と絵里は背を向けて廊下の先の階段をあがって行った。


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