朱良は帰宅して、弘樹達に仕事を引き受けたことを報告した。それからサポート役の黒川由香のことも伝えた。
「姉さんは、その人がどんな家の人なのか聞いたの?」と蓮。
「父親が神主だって言ってたわ」と朱良。
「技を使う気配だけわかる人なんているのかしら」と蘭。
「そもそも、技を使う人が身近にいないと、そんな能力身につかないと思うけど」と蓮。
「言われてみればそうね」と朱良。
「私達も弘樹兄さんが技を使うところを何度も見てるから、なんとなく気配がわかるけど」と蘭。
「明日、聞いてみるわ」と朱良。「あなたは技を使う時の気配を自覚してるの?」
「うん。周りの人の様子で、何となくわかるよ。技を出す瞬間は特に」と弘樹。
「でも気配で技を出すのがばれてしまわないかしら」と朱良。
「そうだね。ぼくは最初からわざと強い気配を出してる。技を出すタイミングがわからないように」と弘樹。
「お兄さんのぞっとするような殺気は、技のタイミングを消すためのものだったの?」と蓮。
「まあそうかな」と弘樹。