弘樹たちは釈然としないまま、依頼を引き受けることにした。八角学園の校長は喜んだ。
「うちの生徒に外法を教えたのは、市内のスポーツジムのオーナーなんだ。試合という体裁で闘いを申し込んでおいたよ」と校長の北山。
「試合ですか?」と朱良。
「そうだ、外法を制裁する方法なんて何でもいいんだ。今回は相手が来てくれるというから、試合が適当だろうと思ったんだよ。格闘技の試合の方が、君としても仕事をしやすいだろう?」と校長。
「はい、わかりました」と朱良。
「ご当主様に、よしなに伝えてくれないか」と校長。
「随分と、うちの当主に気を使ってくださるのですね」と朱良。
「ああ。先代の当主から、聞いているのだよ。当代のご当主様は、とてつもなく強いばかりでなく、神経質で気難しいとね。しかも一度、機嫌を損ねたら絶対に仕事を引き受けてもらえないと」と北山。「こんなことを言って、気を悪くしないでもらいたいのだが。」
「実はその通りなのです。ご理解いただけてありがたく思います。私たちも当主には細心の注意を払っておりますから」と朱良。
「それは私にも感じるよ。どうかうまく計らってくれ」と校長。
「わかりました」と朱良。