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第3話 ギザ歯の悪魔と赤鬼が現れたんですケド!

 ギザ歯悪魔来馬との契約。それから、俺のざまぁな日々が始まった。


 来馬曰く、クソ底辺野郎がざまぁを成し遂げるには半年はかかるらしく、二年になった春休み明けにざまぁを成し遂げることになった。

 これに関しては、そんなに時間が掛かるなどとは契約違反ぞと迫ったが、立派なアッパー喰らってラッパーモドキ完敗。従うことにした。


 それまでの間、あの地獄に耐えねばならぬのかとぴえんした俺、小角伏人だったが、それは杞憂だったと翌日思い知る。


「グフフフ、おーい、ド変態野郎。テメエよく学校に来れたなあ」

「ゲルグググ、おい、やきそばパン買って来いよ」

「キュベレレレ、掃除も一人でやってよねん、じゃないとどうなるかわかるわよねん」


 と、モビルスー〇顔の角ばった三人が早速絡んでくる。

 ていうか、朝から焼きそばパン売ってねえし、掃除も今からさせるなんてお前はさては案外潔癖野郎だな。っていうか、後ろで笑ってる天羽マジ怖いましゅましゅマジむりぴえん。


 と、心の中で悪態を吐きながら、身体は反して従おうとすると、教室のドアがぶっ壊れるんじゃないかってくらいの音を響かせて悪魔がやってきた。


 ていうか、ドアぶっ壊れた。寒風吹きすさぶぜ、どうしてくれんのこれ、今、冬ぞ。


「ぅおい……アタシの下僕に手を出してんじゃねーぞ」


 身長170センチ(俺より身長低い)の激やば悪魔が黒い三連中を見下ろす(俺より態度デカい)。ぅおいって女子の発する音か、ぅおい。


「ぐふ」「げるぉおおお」「きゅう」


 崩れ落ちる、えずく、借りてきた猫になる。ニャアン。黒い三連中は激やば悪魔に過去何かしらのトラウマを植え付けられたのであろう。急に弱体化バフを喰らい始める。もしかして、この悪魔、ヤバすぎ……?


 すると、後方主ヅラの天羽が、前方腕組主ヅラでやってくる。


「あらあ、来馬さん。これはクラスの問題だから部外者は出て行ってくれない~?」

「あ? お前誰だ?」

「ああ、カースト下層の人間は私のことなんて拝むことも今まで出来なかったのね。天羽よ」

「あ、もう……? すまん、ちょっとわかんねえな。アタシの知ってる天羽といえば、小学校で同じクラスだった、あれえ、おっかしいな~、あの天羽さん、だとすれば、この天羽さんは……」


 と、何か厚めのアルバムみたいなのを取り出す。小学校名が書いてあるので卒業アルバムか。

 その瞬間、天羽が目を見開き身体を震わせる。


「あんた……それ……!」

「あもう、あもう、ちょっと待ってくれ思い出すわ。小学校の時のあんた見れば、今のあんたとつながるかもしれな……」

「ぐふふふふ! 小学校の時の天羽さん!? 俺にも見せてくれ」

「やめろぉ!」

「ぐふ……!」


 鼓膜破れんじゃないかってくらいのキンキン越えの絶叫が悪魔によってぶっ壊された入り口を通り抜け廊下まで響く。そして、その声の主、天羽がアイドルとはかけ離れた醜悪な顔でこっちを睨む。


「でけえ汚ねえ声出すなよ、学校の天使ちゃんよ、堕天でもする気か」


 天羽はハッと気づき、周りを見れば、クラスの人間が顔を引きつらせ天羽を見ている。


「あ、ご、ごめん。これは、違うの。あの、」

「おーっと、予鈴だ。じゃあ、アタシは行くわ。おう、下僕。このアルバム預かっといてくれ。どっかの堕天使が迫ってきたらこれを盾にすると良い」


 授業なんてまともに受けていないであろう悪魔が、そのアルバム、いや、ネクロノミコンを渡し、去っていく。そして、堕天使はこちらを睨むが、なんのこちらにはネクロノミコンがあるではないか。


 それを持っているぞアピールをぶちかまし、もとい、ぷちかますと、堕天使、こと、天羽はぎしりと歯を鳴らし、席に戻っていった。


 それ以降、俺に堕天使の仲間が襲ってくることはなくなった。俺はこのネクロノミコンを開いてみたい衝動に駆られたが、マジやべえのが召喚される気がしたので、そっと懐に隠した。


 昼休み。人間代表、小角伏人は、人間が悪魔を召喚ではなく、悪魔から召喚されるという逆パターンにより屋上に至る。


「じゃあ、お前にこれをやろう」


 悪魔は、俺に一枚の紙を渡してきた。全部赤い文字なんでちょうこわかった。


 内容は、ざまぁをする為の虎の巻でした。


 以降、内容。

 腕立て、腹筋、スクワット100回、ランニング10キロ。


「をい、ワンパンマ〇じゃねーか!!!!」

「意外と理には適ってんだよ。まあ、最初からできるとは思ってねえから、最初は分割でいいぞ」


 と、未来のワンパンマ〇に闇金ウシジ〇ちゃんが提案してくる。

 まあ、俺の部活はこのウシジ〇ちゃんと数人の陰キャ仲間たちとでやってる『漫研』という名のアニメ鑑賞部なので、時間的な問題はない。


 問題は量だ。


「こんなにやって意味があるとは思えませぬ。論理的じゃないね」

「しね」


 シンプルな論破。いや、論破かこれ。それってあなたの感想、ていうか、殺意ですよね。


「いや、だって、これでほんとに意味あるの」

「SNSとかでサイタ〇式ちょいちょい上がってるだろうが」

「SNSは信じない主義なんでね」


 悪魔は舌打ちすると、眉間に指を当て、暫く悩んだ。かと思うと、すくっと立ち上がり、俺の目を見据えて話しかける。


「その計画が本物だと証明すれば、やるんだな」

「え? お、おう」

「わかった」


 そういうと、悪魔は、自分の上着に手をかけ、腹を曝け出した。


「おま! 何やってんの!」

「うるせえぇえええ! 見ろ!」


 ち、痴女だあああああ! と叫びたい思いよりも女子のおなか見たーいという思春期男子としては至極真っ当ななんの違和感もない至極真っ当な思いが勝ち、拝ませていただくと、悪魔の腹筋はうっすらと割れていた。


「す、すげえ」

「分かったろ。まあ、アタシは自分に合わせた量に変えたから、この程度だけど、お前があれだけやればがっつり腹筋も割れ……おい、聞いてんのか」

「綺麗だな……」


 は! お、俺は、一体何を! やべえ! 消される!

 闇金ウシジ〇ちゃん、頼む海に沈めるなら、贅沢言いませんからせめて沖縄のエメラルドグリーンの海に!


 なんてことを土下座しながら祈っていると、一向にウシジ〇ちゃんの拳が飛んでこない。

 顔を上げるとウシジ〇ちゃんはこちらに背中を向け腕を組んでいらっしゃった。


「あ、あの……ウシジ〇様」

「ころすぞ」


 背中から発せられる闘気は、鬼と書いてオーガの形になり、アメリカ軍隊と一人で渡り合える雰囲気を醸し出していたので、グラップラーでもなんでもない日本の一般人一名、小角伏人は静かなること林の如しった。


 そして、鬼から逃れるべくつぶさに観察をすると鬼の耳は真っ赤に変化しており、血を連想した想像力豊かな思春期小角伏人は、再度土下座をチャイムが鳴るまで続けのであった。

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